ウクライナ戦争終結シナリオ最終版(フィクションです)

 皆さんこんにちは、21世紀最大の侵略戦争であるロシアのウクライナ戦争が今なお続いております。情け容赦のない帝国主義のロシアに対してウクライナは屈することなく戦い続けています。彼らを見ていると勇気をもらいますね。かつて米国と戦っていた我々もこんな感じだったのかと懐かしささえ感じます。今日では「なぜもっと早く降参しなかったのか」と叩かれる戦前日本ですが、それは占領統治したのが領土的野心の低いカーボーイ(米国)だったからで、中国やソ連(当時のロシア)だったら同じ台詞は言えないでしょう。彼らが沖縄返還のように領土を還すことはありません。

 何事にも終わりがあるようにこの戦争にも終わりがあります。そのシナリオについて様々な考えや情報が錯綜している状況ですが、素人的立場ながら私もいろいろ考えている所存であります。何故ならこの戦争が後の中国の台湾侵攻日本有事につながる大きなうねりを起こすからです。

 フィンランド化を解決策として語る無知

 まずウクライナの今後について戦争開始前から「フィンランド」という言葉が出まわっていました。曰くNATOには入らず、クリミアやドネツク、ルガンスクを諦め、ロシアの影響下で独立を維持するというものです。このことについてはっきり言わなければならないことがあります

 まず言葉そのものがフィンランドの人達に対して失礼だということ。かつて中曽根さんが「日本が防衛努力を怠るとフィンランドのようになる」と発言して同国の抗議を受けています。またこの言葉を単に「強い大国に卑屈にひれ伏す弱小国」の意で使うのは、過去の経緯を知らない愚論でしかないということです。

 1938年当時のロシアであるソ連フィンランドに非公式の交渉を持ち掛けます。曰くレニングラード湾の4つの島嶼を割譲せよと。理由はソ連第二の都市レニングラードフィンランド国境が近かったためです。今のプーチンの「NATO不拡大」と発想は同じです。

 当然フィンランド側は応じなかったわけですが、翌年1939年10月にはさらに要求を吊り上げてきます。要求の中にはフィンランドが対ソ連防衛線として構築しているマンネルハイム線防御の撤去も含まれており、交渉は決裂しました。

 翌月の11月30日、ソ連フィンランドに全面侵攻を開始します。冬戦争です。侵略に先立ってソ連兵13人が死傷するマイニラ砲撃事件が起きます。これはフィンランドの攻撃に見せかけたソ連偽旗作戦であることがわかっており、今のウクライナ戦争の発端としてロシアが主張する「ドネツク・ルガンスクに対するウクライナ軍の攻撃」に通ずるものです。

 戦力はソ連が圧倒しており、25万のフィンランド軍に対して47万の兵力を投じていました。ソ連フィンランド全土を占領する気満々で、開戦序盤で占領した町にソ連に亡命したフィンランド人をトップに据えたフィンランド民主共和国を建てて「これが正統なフィンランドだ」と宣言します。

 しかしその後の戦闘はロシアの独裁者スターリンが期待するようには進みませんでした。彼は攻撃を仕掛ければフィンランドはすぐに降伏するだろうと考えていたのです。武力侵攻と合わせて敢行されたヘルシンキへの空爆では人民に蜂起を促すビラを撒いていました(これもまた「二日でキエフを堕とせる」と判断し勝利記事まで書かせたプーチンに通ずるものがあります)。しかしフィンランド軍の抵抗はすさまじく、十分な兵站を確保していなかったソ連軍は大きな被害をこうむります(これも同じですね)。

 けれどスターリンは諦めず、司令官を取り換えて、大量の装備を整えて再び猛攻を仕掛けます。これにはさすがのフィンランド軍も耐え切れず、マンネルハイム線の突破を許してしまいます。その後ソ連側の提案で停戦交渉が進められ、フィンランドは国土の10%を失う過酷な条件をのむことになりました。

 その後フィンランドソ連と対抗するために当時ナチス政権だったドイツに接近し、枢軸国側として戦うことになりました。フィンランドでは冬戦争の続きとして継承戦争と呼んでいます。その結果は「枢軸国」ということからもわかるように、フィンランドは敗戦国になるわけですが、この戦争においてもソ連軍に大きな被害を出します。その結果スターリンフィンランド支配の興味を失い攻勢を断念。フィンランド独力で戦後処理を行い、表向きは東側の親露政権として、メディアの自主規制などを行いました。これが所謂「フィンランド化」と呼ばれる状態で、1991年のソ連崩壊まで続きました。

 これを今のウクライナに当てはめてみれば、確かに類似点は多くあります。と言っても有事前に「フィンランド化」を提唱した人は、まさかロシアの全面侵攻を受けろとまで言ったつもりなかったでしょう。フィンランドの人からしても多くのソ連兵士を殺したにも拘らず、領土を失い、ロシアの影響下に置かれたことはかなりの屈辱だったはずです。実際、ソ連崩壊後は堰を切ったように欧米へ接近し、欧州連合EU)に加盟しております。そうした経緯を鑑みずにフィンランドがとった政策を大国との戦争を避ける小国の処世術のように語るのは浅学というものです。

 また仮にゼレンスキー政権がクリミアやドネツク、ルガンスク、加えてロシア軍が武力制圧した地域を放棄するという苦渋の決断をしたとしても、プーチンキエフを諦める決断をしなければ休戦は成立しません。というのも冷戦時のフィンランドと異なり、ウクライナNATOの一員であるポーランドと国境を接しているため地政学的に孤立しておらず、ワルシャワ条約機構と言ったロシアを中心とした大きな組織もありません(あるのはユーラシア経済連合というロシアと数国の小さな共同体です)。現在ゼレンスキー政権は欧州連合EU)への加入を申請しており、それが通れば一見中立のように見えながらも実際は欧州の一員という、“”のフィンランドスウェーデンのような立ち位置になれるのです。しかし、それは「キエフはロシア発祥の地」と論文で書くプーチンには到底受け入れられないでしょう。

 危険な甘いトリックスターにご用心

 ウクライナの「非軍事化(無条件降伏)」と「非ナチ化(非欧米化のための占領統治)」という要求が降ろされない以上、停戦合意は成立しません。つまり

  1. ロシア軍がウクライナの全てを焦土にする
  2. ゼレンスキー大統領が無条件降伏する
  3. ロシア経済が完全に崩壊してプーチン政権が倒れる

のいずれかとなります。3にならない為にプーチンは国境に控えていたすべての兵を投入し、何が何でもキエフを包囲して、ゼレンスキーさんに降伏を迫るつもりです。必要なら核の使用も辞さないでしょう。如何に国の為に戦う指導者でも、いえ、国のために戦う指導者だからこそ1の事態は受け入れられません。これは人民の命をないがしろにできる独裁国家が民主国家に対して唯一持てる優位性(人道的非対称性)です。これがまかり通った瞬間、世界は混沌の時代に突入します。

 ここで破局的な結末を回避するかもしれないシナリオが一つ存在します。それはある国の介入です。前の記事で「三者が折版案を模索しようとしても無駄」と書きました。それに変わりはありません。独仏首脳がいくら語り掛けても馬耳東風ですし、トルコが仲介した外相対談も進展なしです。安倍さんがモスクワへ飛んでも無駄でしょう。

 ですがもしプーチンウクライナ征服を一時断念する決断をした場合、ある人物に頼るでしょう。中国の独裁者、習近平です。

 今メディアでは習近平プーチンに出し抜かれたとか、立ち位置に戸惑っていると報じられていますが、事前にウクライナ侵略計画は聞いていると思います。何故なら、戦争は北京五輪が終わった直後、7日の間も置かずに始められたのですから。「平和の祭典」として掲げられる五輪の期間とその前後は「戦闘を行ってはいけない」として国連で加盟国が共同提案し無投票で休戦決議を採択しております。その共同提案に今回は日米豪印が中国の人権問題を理由に参加してないものの、ロシアは参加しているわけです。もし本当に寝耳に水なら習近平のメンツに関わるので烈火のごとく怒るはずです。しかし事前に聞かされていたなら話は別です。そしてもしもの時の仲介役として“第三者”の立ち位置を求められていたとしたら、非難決議の棄権も不思議ではありません。

 中国がウクライナとロシアに提示する仲介案として以下のものと予想します。

  1. クリミア半島アゾフ海沿岸地域のロシア主権の承認とドネツク・ルガンスク両人民共和国の独立承認
  2. 今後50年間のNATO及びEU加入政策の凍結、NATO軍および米軍の通過・駐留の禁止
  3. 前項1を除くウクライナ国土からのロシア軍の撤収
  4. 中国がウクライナの安全を保障する

 1はロシアへの領土割譲です。ウクライナにとっては過酷な条件です。2はプーチンが侵略の理由として掲げていた「中立化」です。3がウクライナ側が求めるロシア軍の撤退。ここに「非軍事化」と「非ナチ化」は含まれていません。

 ここで4が肝となってきます。これは中国によるウクライナの安全保障協力であり、具体的に言えばウクライナへの中国軍の駐留です。これがプーチンが妥協するキーポイントになります。

 プーチンが恐れているのはウクライナの欧米化、非ロシア化です。故に同国をロシアの影響下に置きたかったわけですが、中国の影響下に置いてしまえば欧米化は防げます。中国はロシアの事実上の同盟国であり、中国軍とロシア軍の連携も進んでおります。また中国の一帯一路はロシアを中心とするユーラシア経済連合とも連携しているので、ウクライナの中国依存が高まれば、中国を通してロシアとの一体性も実現できるでしょう。

 さらに今は西側のヒーロー的存在になっているゼレンスキーさんですが、中国との関係が深まれば、例えばウイグルの人権問題や香港問題について中国側に立った発言をするようになるでしょう。そうなると今までの熱が嘘のように冷め、世界の孤児になりかかっているロシアの国際的地位も回復するという寸法です。そしてウクライナへの関心が薄くなった隙に、キエフで政変を起こして親露政権を樹立する。かくしてプーチンの願いは実現したのであった……という筋書きです。

 さらにこれには続きがあります。中国の介入によって欧州の危機を脱したことにバイデン政権と欧州首脳陣はいたく感謝。中国の人道問題は譲らないが、台湾の東沙諸島や日本の尖閣諸島への侵攻程度は許容する……なんてことになりかねません。

 私のシナリオが外れることを望みます。

 

[補足]平和憲法ウクライナには外国軍の駐留はない

 無知なのは私も同じで、何とウクライナ憲法には「外国軍の非駐留」があります。つまり私のシナリオは100%外れるフィクションだということがわかりました(嬉しい)。

На території України не допускається розташування іноземних військових баз.
ウクライナの領土では、外国の軍事基地の設置を許可されていません。)
──ウクライナ最高議会HP(https://zakon.rada.gov.ua/cgi-bin/laws/main.cgi?nreg=254%EA%2F96-%E2%F0#Text)より第17条の一部を抜粋

 同時にこれは「ウクライナNATOに加盟すると、ロシアを狙う核ミサイルが配備される」というロシア擁護派の論理を粉砕する物でもあります。ロシア擁護派が観念論に陥って右翼化する日も近いです(というか既に右翼と言えますね私的には)。

 

 最後にウクライナの方々の御健闘を祈りつつ、此度の戦争で亡くなったウクライナの民間人とウクライナとロシア双方の兵士達のご冥福をお祈り申し上げます。我ら日本国民はウクライナと共にあります。

 

 混沌化する世界に取り残された日本と世界の未来(ちょっとロシアがおとなしすぎるシナリオです)。

hatoyabu01.hatenablog.com

混沌化する世界で食い荒らされる日本と世界の未来(ロシアをアグレッシブにした手直し版。かなりエグイ内容です)※現在制作途中

hatoyabu01.hatenablog.com

(2022/3/30 本文一部修正、5/19 補足追加)