韓国の渡ったルビコン川に帰還路はない

 皆さんこんにちは、ウクライナ戦争は膠着状態でありますが、ウクライナは諦めず、ロシアも諦めない状況が続いています。敗戦史観の我が国においては「早く降伏しろ」とか「攻撃を止めろ」という感情しかないでしょうが、互いに譲れるものがないという状況で戦争は続くものです。いいか悪いかでなく、これが人の集まりし共同体である「」なのですね。それぞれに異なる「平和の形」があり、それが合わないから「戦い」が生まれる。この場合「ウクライナの完全独立」がウクライナの平和、「ロシア帝国ウクライナ全土を含む)の完全復活」がロシアの平和という不一致が生じています。故に簡単に折半できぬというわけです。だた物理的に戦闘が不可能になれば話は別ですが、それは後ほどの記事で。

 今回は韓国大統領選の結果についてです。と言っても私はほとんど関心がなかったので、詳しい内容は他のメディアやブロガーさんに頼みます。本記事ではシンプルに一点だけの予測をあげるとします。

 日韓改善の兆しだって?

 今回当選したのは尹錫悦候補で反文在寅の中心的人物です。彼の元には保守派と中道派が結集し、与党である左派「共に民主党」を圧倒する勢いである事が報じられていました。前の記事で韓国でさえ「青瓦台の中国寄りを正すべき」といった主張が出たという話を書きましたが、それを言ったのがこの人です。

国保守系野党「国民の力」の大統領候補、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長は12日、ソウル市で外国メディアと会見し、北朝鮮の脅威に対応するため日米韓3カ国の安全保障協力を強めるべきだとの認識を示した。悪化した日韓関係の改善に向け「歴史問題と経済、安保協力を網羅した包括的解決を模索する」と述べた。(出典:日米韓で「安保協力を強化」 韓国大統領選の野党候補,日本経済新聞電子版,2021.11.12.,

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM129PO0S1A111C2000000/

 至極まっとうな主張で、彼が当選したことにより「ああ、これで日韓関係は改善するんだ」という主張がこれから出てくるでしょう。

 結論から言いましょう。違います!日韓関係は改善するどころか、より複雑化し場合によっては悪化する可能性さえあるでしょう。

 尹新大統領で日韓関係が改善しない三大理由

 これは別に嫌韓とかそういうのはないです。むしろ私は元来韓国には無関心であり、彼らの反日言動も「民族の自尊心」よるものと理解しており、それを全否定する立場でもありません。彼らには彼らの歩む「」があり、その先が我が国との「敵対」であったなら、別に構わないと思っております。何せ彼らは「独立国」ですから。

 逆に何かと我が国に粘着してくるのが鬱陶しいと感じてますし、それに対して同じように粘着している嫌韓日本人も、姑息に懐柔しようとする親韓日本人にも呆れております。日本と朝鮮半島の歴史を見ればわかりますが、交流が盛んな時期もあれば絶っていた時期もあるんですね。だからどういう関係が「正しい」かなんてものはなく、潮時だとみてこのまま冷却した関係が続いた方が双方の為だと思うんですね。コリアンのアイデンティティは非常に強固なので、中国の属国になったところで滅ぶことはありません。歴史が証明しています。

 私見はともかく、なぜ新大統領でも韓国と日本の関係がよくならないのかと言うと、大きく三つの理由があるからです。それは

  1. 保守政治家ではない
  2. 反日に左右無し
  3. 安保を歴史問題の取引に

 という事情があるからです。順を追って解説していきましょう。

 保守政治家ではない

 まず、尹氏ですが前は検事総長でした。それも文在寅氏の指名を受けた。そう、弾劾された朴槿恵元大統領を裁いた当事者です。それが紆余曲折あって文氏と対立し、反文在寅の中心的人物となりました。韓国大統領制は一期五年の再選無しなので、任期中は親族の利益誘導など滅茶苦茶やってしまうわけです。それで退任後本人や親族が逮捕される例が後を絶たず、「事実上の王朝交代」と言われているほど。だから尹氏が大統領に就任した暁は文氏とその取り巻きたちは窮地に陥ります。中国辺りに「亡命」する可能性もありますね。

 そんな経緯があるので彼は政治家じゃない故にその手腕は未知数となっています(もっともこれは大統領制の強みであり、米国のトランプさんやウクライナのゼレンスキーさんのように異業種出身が活躍することは珍しくないです)。文氏に対抗する過程で「保守」となったわけで、今主張したことが全て実現されるとは考えない方がいいです。そもそも韓国が米国から離れて中国に接近しだしたのは保守派と言われた朴槿恵時代からなので、いわんや新政権で変わる保証はどこにもないのです。

2015年 リッパート駐韓大使襲撃事件
(同年) アジアインフラ投資銀行参加
2016年 南シナ海判決に対し米国と歩調を合わせず
2017年 一帯一路サミット参加
(同年) 環境影響評価を理由にTHAAD配備を遅延
(同年) THAAD追加配備拒否を含む「3NO」を宣言
(同年) 米韓国防相の共同声明を一部否認した中韓合意文を発表
(同年) 米韓首脳会談の翌日、共同発表文の一部を否認・削除
2018年 平昌五輪に乗じて南北親善を演出
(同年) 圧力姿勢の米国を出し抜いて南北首脳会談

ルビコン川の対岸で足踏みする文政権 - 未来に予想される戦争と敗戦
 反日に左右無し

 尹氏に限らず韓国では保守も左翼同様に反日です。というより反日している自覚がありません。韓国の人に「反日を止めろ!」と言っても「反日なんてしてないよ?」と返されます。彼らの中では「悪魔国家日本」は世界の常識であり、断罪したり諭して見せたり、ついには命令したりするのが「普通の事」なのです。

 そして政治の世界において親日汚職や犯罪と同じくらいにスキャンダラスなカテゴリーであり、主に左翼が保守を攻撃する常套句が「親日疑惑」です。これは1930年代のドイツの「ユダヤ疑惑」に近いレベルと言えるでしょう。親日と見なされると社会的に滅されます。

 尹氏は慰安婦問題について強硬になる兆候を紹介します。韓国のことについて日夜詳しく情報発信して下さっているシンシアリーさんのブログによれば、尹氏は元慰安婦(と言われている)イ・ヨンス氏と会って「日本から必ず謝罪を引き出して見せる」と誓ったそうです。

sincereleeblog.com そんな彼が2015年の日韓合意での「最終活不可逆的な合意」を守れるはずがありません。文氏同様に謝罪と賠償を求めてきます。それも日本の過去の談話の「謝罪」では物足りないというわけですから、韓国国会議長をしていた文喜相氏のように「天皇の謝罪要求」もあり得るわけです。そうなると如何に譲歩大好きな日本の親韓政治家でも受け入れられないでしょう。民主党政権の時でさえそうだったのですから。

 安保を歴史問題の取引に

 さらに厄介なのは尹氏が昨年の6月末の出馬表明の際、こんなことを言っているからです。

尹氏は「慰安婦や徴用工の問題、安保協力や経済の懸案をすべて一つのテーブルにのせ、グランドバーゲンするアプローチが必要だ」と語った。グランドバーゲンとは過去の対北朝鮮交渉で使った一括妥結方式を意味する表現だ。日韓の外交・国防担当閣僚会議(2プラス2)の開催も提案した。(出典:韓国大統領選、「反文在寅」の最有力候補が出馬表明,日本経済新聞電子版,2021.6.29.,

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM283TF0Y1A620C2000000/

 慰安婦どころか所謂徴用工の問題まで安保と経済のテーブルに挙げてアプローチするというのです。要は安保協力と引き換えに歴史問題で譲歩を引き出す狙いが見え見えです。経済についてはホワイト国指定復帰も含まれるでしょうし、そもそも日韓請求権協定に反した所謂徴用工の件も持ち出すあたりに暗雲が垣間見れます。

 尹氏の当選に関しては経済関係に詳しいブロガーの新宿会計士さんも注目しており、必ずしも日韓関係改善にはならないと警戒感を表しております。

shinjukuacc.com

 なお新宿会計士さんは日韓問題について「落としどころ」をわかりやすく提示していらしてまして、それが以下の三つです。

  1. 韓国が国際法に照らし、自力で解決する
  2. 日本が韓国に譲歩する
  3. 日韓関係が行き詰まる

(ブログ「新宿会計士」さんhttps://shinjukuacc.com/より引用)

 1が国際儀礼上正常ですが、韓国がそれをやらないのは誰もが知るところです。問題は2ですが、私はこれは「落としどころ」ではないと考えます。これは感情論ではなく、行き着く先を考えた結果です。

 これまでの日韓問題は韓国側が問題を提示し、日本が譲歩するというのが繰り返されています。ただ繰り返すだけならいいのですが、今回は所謂徴用工と言ったものが含まれています。これは1965年に締結された「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(通称 日韓請求権協定)」で解決済みとしたはずのものであり、これを譲ってしまうとなると協定は事実上空文化し、日韓併合時代(韓国側からすれば植民地時代)のもろもろについても賠償要求ができると彼らは判断します。よしんばそれに全て応じたとしても、ついには独島(韓国が勝手に読んで不法占拠している島根県竹島)の放棄や、長崎県対馬の割譲さえ要求するほどにエスカレートするでしょう。そうなると如何に日本に売国政権が立っていたとしても譲れず、最悪日韓版のフォークランド紛争に発展する可能性があります。

 つまり全て韓国側に対立を解消する気がない限り「落としどころ」はありません。冒頭のロシアとウクライナと同じです。日本をトコトンやり込めてあわよくば隷属させたい韓国の「平和」と、1965年に結んだ協定といくつかの妥協で手落ちにしたい日本の「平和」が一致してないのです。これからも一致することはないでしょう。

 

 韓国が渡ったルビコン川には帰還するための橋はありません。無理に戻そうとすればまた将来にいらぬ禍根を残すことになるでしょう。安易な妥協には反対です。