プーチンは世界を混沌にしてでもウクライナを占領統治したい

 皆さんこんにちわ、今北京パラリンピックの真っ最中ですね……そうです、世間の関心はそっちではありません、ウクライナ戦争です。クリミアの時もそうでしたが、ロシアはつくづく約束を守らない国ですね。オリンピック・パラリンピックとその前後7日間の戦争自粛を求めた「休戦宣言」をこうも堂々と踏みにじられては「平和の祭典」ならぬ「血の祭典」と後世で評されるでしょう。最悪、今回が最後の五輪になってしまうかもしれません。

 プーチンが踏み抜いた二つのタブー

 今回の戦争で明確にプーチンのロシアが侵してしまったタブーがあります。第二次世界大戦以来の「侵略戦争」をしてしまったことです。これは明確な国際条約違反であり、世界秩序への挑戦です。

 厳密に言えば「侵略」そのものは第二次世界大戦後にも行われています。中国共産党によるチベット侵攻東トルキスタン侵攻、北朝鮮による韓国侵略、北ベトナムによる南ベトナム征服、ソ連による軍事介入、アメリカのパナマ侵攻、イスラエルレバノン侵攻、イラククウェート侵攻などなど。でもそれらはいずれも新興国の増長だったり、冷戦当時におけるイデオロギー戦争や政変をかけた戦争だったりします。そして大国の場合は「侵略」と形容されないように気を使っていました。

 しかし今回は国際社会でそれなりの地位のある大国が、「侵略」以外形容しようがない拡張戦争を堂々とやらかし、しかもそれをだれも止められないのは第二次世界大戦後の世界で初めての出来事でしょう。勿論ロシア側の言い分としてはドネツク・ルガンスクの独立した二つの国(自称)を守るためと主張していますが、クリミア侵略以来、同地域にロシア軍が入っていることは周知の事実であり、ロシアの言い訳を信じる者は、世界中探しても何処にもいません(ロシアプロパガンダに洗脳されているロシア国民と親露日本人くらいです)。

 当初プーチンが主張していた「NATO不拡大」論はバルト三国が既にNATOに加盟していることや、ジョージアのようにウクライナが加入できる見込みが薄い事、未加入であってもスウェーデンフィンランドのように欧米と連携できることから「侵略」の口実に過ぎないと過去記事で論破しています。

 

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 何より戦争に先立ってプーチン自身が「キエフはロシア発祥の地」とか「ウクライナはロシアが作った」とか「ロシアとウクライナの一体性」と堂々と論文なり演説なりで主張している時点で「侵略」を堂々と宣言してしまったようなものです。プーチンの主張は言うなれば、台湾統一を掲げる習近平と一緒です。

 核のパンドラボックスを開けたプーチン

 戦争も問題ですが、もっと深刻なのが「侵略時における核恫喝」です。2月24日プーチンは国際社会に向けて邪魔するものは「歴史上で類を見ないほど大きな結果に直面するだろう」と主張しました。

 ロシアのプーチン大統領はモスクワ時間の24日早朝、「住民を保護するため」との理由でウクライナ東部における特殊な軍事作戦の遂行を決断したと発表。テレビ演説で「外部からの邪魔を試みようとする者は誰であれ、そうすれば歴史上で類を見ないほど大きな結果に直面するだろう」と語り、核兵器の使用も辞さない構えを再び示唆した。 (出典:プーチン大統領核兵器の行使を再び示唆「邪魔する者は歴史上で類を見ないほど大きな結果に直面するだろう」,中日スポーツ電子版,2022.2.24.,https://www.chunichi.co.jp/article/424053

 これは人類史上最も深刻な事態で、今まで核兵器は自衛のための「切り札」として、己の国家が危機的状態でなければ基本使えないという暗黙の了解となっていました。ソ連にしろ中国にしろ表向きには「核報復」を原則とした核戦略を取っていたのです(ただここ最近はロシアも中国も「核の先制不使用」を実質撤廃する方針転換を行いました)。

 それをプーチンはとうとう「邪魔する奴は核攻撃だ」と堂々と脅すようになったのです。実は似たようなことが過去にありました。17年前、中国の人民解軍人にして国防大学の教授であった朱 成虎少将は香港駐在の国際メディアに対して「米国が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、中国政府は核兵器の使用を辞さない」と発言して物議をかもしました。米下院は中国政府に対し発言の撤回と同少将の免職を求める決議を出しました。当人は「個人の見解」と述べておりますが、言論の自由のないかの国において、個人が勝手に他国へケンカを売る発言が許されるはずもなく(言論の自由があっても問題になりますが)中国政府の脅迫戦略であると見なされています。

 プーチンは元首の立場で堂々とこれをやったわけで、核戦力を武器にした世界に対する脅迫以外の何物でもないでしょう。加えて言えばその手の恫喝は北朝鮮の独裁者が度々していることであり、2月24日を以てロシアは「極北の北朝鮮」と化したと言えます。丁度、国際社会から厳しい制裁下に曝されていますし、その内ロシア国民も北朝鮮国民と同じ生活になるかもしれません。しかし、堕ちても腐っても常任理事国がこんなことをやってしまっては、今後似たような暴挙に出る国や指導者が続々と現れる危険性があります(次にやらかす国は十中八九中国です)。プーチンは開けてはいけない箱の扉を開けました。

 原発攻撃、民間人攻撃

 恫喝だけでも問題なのにロシアは更なる暴挙に出ました。ウクライナ原発を攻撃し、軍事制圧したのです。

 ロシアのウクライナ侵攻で、ロシア軍は4日未明(日本時間同日午前)、欧州最大のウクライナ南部ザポロジエ原発を攻撃し、制圧した。戦闘により原発施設の一部で火災が発生した。ウクライナ当局は周辺の放射線量に異常はなく、原発の安全性にも問題はないとしているが、稼働中の原発への攻撃という異例の事態に国際社会の懸念が強まった。(出典:露軍、ウクライナ南部の原発制圧,産経ニュース電子版,2022.3.5.,https://www.sankei.com/article/20220305-ZRVHBZ4BQVMWTNDTV3DRRGYWKQ/

 これにも当然国際社会の非難が浴びせられますが、ロシアはすました顔です。当初安保理で非難された時は「西側の嘘」などと言い、その後は開き直ったプーチンが「ウクライナが核保有しようとしている」などと言い始めています。ここまでくるとプロパガンダにもならない妄想です。原発運用国は我が国も含めIAEAの監視下にあり、変な動きをすればたちどころに制裁を浴びます。そのIAEAロシア非難決議を出しているのですから、誰も弁護する人はいません。

 目的はシンプルにウクライナの電力インフラを掌握することにあるのでしょうが、やり方がやり方だけに原子炉に爆発物を付けてドン★なんてするんじゃないかと誰もが思います。間違いなくその恐怖心を煽ってウクライナに降伏を促す魂胆でしょう。もはやこれは「戦術」ではなく「戦略」攻撃です。

 またロシア軍は民間人への攻撃も無差別に行っており、その写真や映像が世界中に出回っています。まるで「侵略している様子」を見せびらかしているようであり、21世紀の今日までやっと人類が築き上げた「人としての尊厳」を土足で踏み散らす行為です。国際刑事裁判所ICC)は3日からロシア軍の戦争犯罪の捜査を開始しており、7日にはその報告書が出たそうです。

米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は6日、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、民間人を標的にした攻撃などロシア側が戦争犯罪を実行していることを示す「信頼度の高い報告書」を確認したと明らかにした。
 ブリンケン氏は、訪問中のモルドバから米CNNのトーク番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン(State of the Union)」に出演。「(ロシア軍が)民間人を意図的に攻撃していることを示す信頼度の高い報告書を確認した。戦争犯罪に該当するものだ」と述べた。(出典:ロシアの戦争犯罪、「信頼できる」報告書確認 米国務長官,AFPBBNews,2022.3.7.,https://www.afpbb.com/articles/-/3393636

 もはやこれでロシアのウクライナ侵略戦争を正当化する余地は消えました。プーチンが頼れるのはただ一つ、6375発の核爆弾だけです。

 プーチンは狂ったのか?

 現在多くの識者やブロガーたちが「どうしてプーチンはこんな挙に出たのか」について頭を悩まし、ウクライナ戦争の落としどころなどを考察しています。当初は「ロシア側にも言い分はある」と言っていた人達も、ロシアの暴虐には閉口ししているようで、米国や英国の政治家に至っては大真面目に「プーチンは気が狂った」と考え始めています。

 もし本当にプーチンの気がふれたなら、話は簡単です。ウクライナ戦争はプーチン政権の崩壊で決着します。古今東西、どんな国の民族でも狂人についていきたい国民は居ません。最終的に誰も彼の言うことを聞かなくなり、引きずりおろされます。

 しかし、現実としていかに多くの損害を出しているとは言え、ロシア兵たちの士気が下がっているとは言え、攻撃は継続されており、止める気配がありません。国際社会でいくら非難を浴びようが、それまで中立を掲げていたスイスやスウェーデンフィンランドまでがウクライナ支援に動こうが俄然せずです。政府関係者は皆プーチン同調した発言をしていますし、そもそも侵略の発端となるドネツク・ルガンスクの独立承認を下院が要請しています。つまりプーチン独りの独断行動ではないということです。

 私はロシアのことを良く知りません。故にこれは推測ですが、プーチンが論文で主張していた「キエフはロシア発祥の地」とか「ウクライナはロシアが作った」といった主張を、教育等を通してすべてのロシア国民が意識しているとしたらどうでしょう?ウクライナを手に入れる為、どんな手段を使っても構わないという考えがまかり通っても不思議はありません。丁度お隣の韓国が「反日なら何をやってもいい」と無体なことを繰り返すのに似ています。勿論「やりすぎだ」という意識から反戦デモに参加する人々もいるでしょうが、国全体が韓国同様「ウクライナ」に染まれば、誰も止める人は居なくなるでしょう。

 多くの方はなぜ今ロシアが豹変したのか驚いている人が多いと思いますが、それは「猫を被っていた」の一言で説明がつくでしょう。前の記事で触れたようにロシアが冒険に出たのはソ連崩壊以降、経済と軍事で(ウクライナよりは)力を付けたから、アメリカが「戦わざるカーボーイ」になったからにほかなりません。プーチンや彼を支持する多くのロシア人にとって「人としての尊厳」よりも「民族の自尊心」が優先されるのです。

 これからどうなるか?

 これからどうなるかですが、これはシンプルに「ウクライナの無条件降伏」か「ロシア軍の無条件撤退」のどちらかしかありません。つまり圧倒的な物量と核戦力でロシアがウクライナを伸してしまうのか、国際社会の圧力に屈してロシアが手を引くのかのいずれかのシナリオを辿ることになります。第三者が折版案を模索しようとしても無駄です。ウクライナがクリミアや東部の領土のことで妥協することはあっても、ロシアが妥協しない限り戦争は続きます

 その証拠にプーチンはフランスのマクロン大統領との電話会談で、ウクライナとの和平の条件としてウクライナの「非軍事化」「非ナチ化」「中立化」の三つをあげています。困ったことにこれらの要求の意味を分かっていない方が日本には特に多く、ウクライナからいらしている当事者相手に「抵抗するべきでない」と宣う始末。なんというか、日本のピエール・ラヴァルは結構いるんですね。

 まずプーチンの要求しているウクライナの「非軍事化」は武装解除のことであり、はっきり申せば「無条件降伏」です。こう聞くと思い浮かぶのが第二次世界大戦で負けた我が国に米国を中心とした連合国が要求したものですね。即ちすべてのウクライナ国民が武器を捨てて抵抗を止めるという意味であり、まさかそれで終わるわけはなく、武装解除を確約するために武器を持ったロシア兵の監視下に置かれることになります。つまりまんま「占領」です。

 戦争が起こっても「占領」はないだろうと思っている識者が多いようですが、「非軍事化」は即ちそういう意味であることを理解するべきです。

 次に「非ナチ化」ですが、識者たちは現ウクライナ政権であるゼレンスキーさんの退陣と考えているのが殆どです。もちろんゼレンスキーさんを狙っているのは間違いないですが、それを「ナチス」なぞらえている点に恐ろしい目的が隠されています(そもそもユダヤであるゼレンスキーさんを「ナチス」呼ばわりすることに無理がありますが)。

 第二次世界大戦後のドイツは日本同様敗戦国として「非ナチ化」の為に「占領」され、主権を失っています。そしてナチスに協力した人間への断罪が行われました。

 これをウクライナで再現するとなったら?実際ゼレンスキーはナチスではないので「反欧米化」もしくは「ウクライナ」を進めることになります。それは大統領のみならず、反ロシア的活動をしていた一般人に至るまで、身柄を拘束することを意味します。その証拠に侵略に先立つ時に「殺害リスト」をロシア側が用意しているとの情報をバイデン政権は掴んでいました。

緊迫するウクライナ情勢をめぐり、バイデン米政権が国連に対し、ロシアがウクライナを侵攻・占領した場合に殺害もしくは強制収容所送りにするウクライナ人らのリストを作成していると警告する書簡を送ったことが明らかになった。21日付の米紙ワシントン・ポストなどが報じ、バイデン政権高官が同日確認した。(出典:露、ウクライナ侵攻後の「殺害・収容リスト」作成か 米が国連に警告,産経ニュース電子版,2022.2.22.,https://www.sankei.com/article/20220222-FUVX54JORRMEFMHYXLVJMHNGCI/

 こんな粛清、ヤヌコビッチが戻ってきたところですぐ実践できるわけありません。ロシアに「占領統治」してもらう必要があります。当然警察権も司法権もあったものではなく、ウクライナの主権は事実上はく奪されるということです。

 最後に「中立化」ですが、これは冷戦時代の我が国において反米を掲げる人が良く使う常套句で、その本質は「離米」です。先の要求通りに従えばウクライナ武装解除されて「非ナチ化」されなければなりませんので、スイスのような武装中立にはなりません。かといってまさか国連の平和維持軍を受け入れるはずもなく、中立とは名ばかりの「ロシア化」になるでしょう。それがわかっているからウクライナ側は受け入れられないのです。

 逆にロシア側からすればプーチンとその支持者の世界観的にとっても、壊すだけ壊して撤退とはいかないでしょう。おまけに二日間で終わるはずが、ウクライナの予想以上の抵抗に苦戦し、たくさんの犠牲と多大な軍事リソースを費やしているのです。最低限一年以上のウクライナ占領、可能ならば「併合」も視野に入れていれもおかしくはありません。既に世界から最大限の非難を浴びていますから「毒を食らわば皿まで」な状況です。

 何でもありな世界へ

 国際法を堂々と破り、国際社会の目を無視し、核兵器を周囲に突き付けて侵略戦争に勤しむ姿は愚かしいながらも「清々しく」も感じられます。かつて我が国が国際連盟から脱退した時もこんな感じだったのでしょうか?あれによって国連は瓦解し、世界は混沌と化しました。現在もロシアの拒否権によって国連は「脳死状態」となり、木偶の坊となっております。

 国際法が守られ無くなれば好き勝手に戦争を始める国が増えます。また核恫喝が許されるのならどの国も核を持ちたがるようになります。これは北朝鮮みたいな国があっちこっちにできるということです。まさに混沌、何でもありの世界です。

 今我が国ではこの戦争をきっかけに「9条」や「」について議論が呼びかけられるようになりました。この動きを一過性のものとはせず、「国を護るには何が必要なのか」を真剣に議論していく世の中になって欲しいものです。

 もう時間はありません。

 

 

 最後にウクライナの方々の御健闘を祈りつつ、此度の戦争で亡くなったウクライナの民間人とウクライナとロシア双方の兵士達のご冥福をお祈り申し上げます。我ら日本国民はウクライナと共にあります。

 

 

 混沌化する世界に取り残された日本と世界の未来(ちょっとロシアがおとなしすぎるシナリオです)。

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混沌化する世界で食い荒らされる日本と世界の未来(ロシアをアグレッシブにした手直し版。かなりエグイ内容です)※現在制作途中

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(3/8 誤字修正、太字強調、リンク追加)