台湾武力統一(手直ししました)

※この作品は作者の独断と偏見によるシミュレーション戦記です。実際の人物、国、民族は関係ありません。

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■202×年 台湾武力統一

 近年の台湾統一地方選民進党が勝利したのをきっかけに中台の緊張が悪化、慣主席は「万一、分裂主義者が当選するようなことがあれば海は荒れ山動くであろう」と開戦を示唆する声明を発表した。そして明くる年の総統選に合わせて国産空母2隻を抱えた東海艦隊が台湾東方の海域で大規模な海上訓練を実施する。

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(出典:Google Earthより台湾周辺の海域)

 攻撃開始、先島諸島武力占拠

 総裁選で制憲・正名を公約に掲げた民進党代表が当選したのを機に、中国軍の攻撃が始まった。まず台湾国内のネット回線に徹底的なサイバー攻撃が行われ、インターネットが一部使用不能になる。次に多数の弾道ミサイル無人機によって台湾各地の発電所や軍施設を破壊し飛行場も使用不能にした。急な停電と通信途絶に台湾各地の住民はパニックになる。

 同じ頃、海上訓練を行っていた東海艦隊が何の前触れもなく日本の与那国島石垣島宮古島に揚陸作戦を実施。同島嶼らにもミサイルや無人機による攻撃を加えられており、駐屯地の陸自と空自隊員たちは本土からの支援もなく、発砲も許されないまま上陸してきた中国軍と会敵し、一部では戦闘に至るも島民たちを人質に取られたことにより、武装解除させられた。先島諸島を難なく占領した中国軍は台湾を完全に包囲することに成功したのである。

 台湾解放戦

 いよいよ空挺部隊を乗せたと思われる輸送機がSu-27戦闘機を伴って台北へ乗り込んでくるが、このことを想定していた中華民国軍は訓練通り即座に対応した。道路を滑走路代わりとして破壊を免れた航空機を使い、Su-27と輸送機を迎撃することに成功する。また多数建造されたフリゲート艦が台湾海峡と東方の沿岸それぞれに配置され、中国海軍を近づかせまいとした。
 しかし、彼らは思わぬ方向からの急襲を受けて総崩れになる。中国軍は偵察衛星「神眼」と高高度無人偵察機「雲影」で中華民国軍の動きを常に把握し、事前に尖閣諸島魚釣島の軍事基地に配置していた殲20ステルス戦闘機に奇襲を決行させたのだ。スタンドオフ対空ミサイルで瞬く間に台湾の航空隊を葬った殲20は対レーダミサイルでレーダーサイトを破壊して台湾海峡沿岸の制空権を完全に奪った。その後、戦闘機を伴った多数のH-6爆撃機が飛来し、対艦ミサイルによって中華民国軍のフリゲート艦にダメージを与えた。そして改めて“本物の”空挺部隊を乗せた輸送機が殲20を伴って台北に強襲し総統府を制圧、総統が拘束されて戦争は名目上終結した(台北斬首作戦)。

 台北事件

 中国政府は本事件を「反国家分裂法における正当な行為」と声明を発表し台湾への軍事攻撃を正当化、揚陸部隊を上陸させて台湾全土の武装解除と占領を開始する。それに反発し五千人以上の学生たちが非暴力のデモを敢行し自由と民主主義の保護を訴えたが、中国兵は彼らを戦車で無慈悲に轢き殺した(香港、チベットウイグル内モンゴル天安門事件に続く台北事件と語り継がれる。中国政府は学生が飛び込んだことによる事故と主張し発表された犠牲者数は5人とされた)。この事件に対し米国は当選したばかりのワン大統領の意向により中立を守り、日本も中国との衝突を恐れて沈黙を続けた。当時、日本へ渡航していた台湾人が国連安保理事会への招集を訴えたが聞き入れられなかった。

 紛争後

 この事件(後に台湾侵攻と呼ばれる)の結果、中国は台湾を台湾省として東部戦区の管轄にし、以後数年にわたる思想教育やそれに反発する住民への粛清を行った。この弾圧によって20万人以上の死者が出た他、日本統治時代の名残(神社など)が破壊される。経済も破綻し日本へ数百万人規模の経済難民が大挙して押し寄せた(台湾難民問題)。また作戦の経緯で占拠した先島諸島についても、中国は住民と隊員の身柄を交渉材料に日本から主権を奪い、来るべき対日戦や西太平洋覇権への大きな足掛かりを手にしたのだ。

 米国

 大統領選挙ではベーシックインカム導入を掲げた中国系のワン氏が大統領に就任する。しかし、本選挙戦に中国政府の工作があった疑惑が浮上し、捜査を開始したFBI長官をワン大統領が更迭する騒動が起こった(第二次チャイナゲート)。以降米世論は混迷を極める。
 国内では中国系大統領誕生の後押しを受けて旧日本軍による戦争犯罪南京事件や万人抗)問題が全米で注目され、各州の議会で日本政府と企業に対し「被害者一族及びその母国に対する謝罪と賠償を要求する」決議が可決。それに韓国系団体も便乗し徴用工像が次々と建設される。最終的に政府が公式に日本へ中国・韓国への謝罪と補償をするように圧力をかける事態となった(このことは長年信頼を置いていた日本の親米派を大きく落胆させる結果となる)。
 米軍内では台湾が中国の手の内に入ったことにより在日基地のリスクが課題になる。さらに日本政府が集団的自衛権を否定し、日米合意である辺野古移設を二度にわたり蔑にした(一度目は2009年の烏山政権)事から、同国への信頼も回復不能なまでに崩れていた。その結果「アジアの事はアジアに任せる」というワン大統領の決断によって、在韓米軍をはじめとした東アジア地域からの撤退へ向けた動きが始まる。
 なお宇宙開発については、2030年まで運用する予定だった国際宇宙ステーションISS」がロシアの計画離脱により高度維持が喫緊の課題となり、代替案としてシグナスが当面の間使用される(しかし打ち上げロケットエンジンにはロシア製が使用されており、新たな代替案が求められていた)。しかしロシアが突如ロシア軌道セグメントの権利を主張し、ISSからの切り離しを強行。モジュール同士が衝突する大事故を起こし、数名の死者を出す大惨事に至った。結局ISSは一月後に制御落下させられ、西側の宇宙開発は大きく後退を余儀なくされた。
 ISSを失い中国に宇宙開発を先行されることに懸念の声が上がるがワン大統領は財政事情を理由にNASAの予算を大幅にカットする。これによってムーンゲートウェイ計画も有人火星探査計画も白紙に戻されることとなり、それ以降もアポロ計画規模の国家プロジェクトが立てられることはなかった(この決定に反発した一部の民間企業は独自の宇宙開発を続けていたがその後の内戦のあおりを受けて衰退してしまう)。

 日本

 尖閣事件後の衆参両院選挙により日本共産党を含めた野党連合が自民に勝ち、最大野党の立憲民主党(立民党)の党首である枝本氏が首相に就任していた。就任早々、彼は平和安全法制と特定機密保護法の廃止を宣言、自衛隊と官僚内で混乱を引き起こす。沖縄県辺野古移設にも言及し、ドニー氏に新基地建設撤回を約束するが米国の圧力を受けあっさり主張を変えた。

 徴用工問題について当初から積極的な姿勢を見せていた枝本首相はワン大統領の後押しを受け、中国や韓国に対する謝罪と反省を述べる談話を発表し(枝本談話。南京事件や万人抗のみならず、韓国の慰安婦や徴用工の強制連行と"奴隷性"を認める記述があり、河野談話を上回る日本史上最悪の談話となった)賠償金1兆円を高麗新政府に拠出した。これによって中韓の主張する日本人の残虐性が公式の史実とみなされ、後々世界の日本観は韓国人や中国人のそれと同じになっていく(日禍論。龍や五芒星と関連付けて悪魔国家とも呼ばれるようになる)。

 台湾事件前後、海上流通の要を中国海軍に封鎖されたことで、国内では深刻な物資不足に陥り何処のスーパーでも棚が空っぽになる状況が頻発する。石油や天然ガスの輸入も止められたため、急遽政府が切符を発行して配給する形となった。実はこの時、枝元政権は中国から水面下で「台湾有事に関与すれば、交易は永遠に寸断される」と恫喝されていた。恫喝に屈した枝元は台湾海域から護衛艦隊を離れさせ、那覇に控える第9航空団にスクランブルを自制させ、先島諸島に駐屯していた自衛隊員にも「何があっても待機」を厳命したのだ。その配慮はメディアにも波及し、台湾有事をが大きく取り上げることはなく、国内問題に国民の目を逸らさせていた。その後、島民や隊員の身柄と引き換えに先島諸島の主権を委譲した枝元の行動は国内では一定の評価を浴びるも、西側では「中国に媚び売って台湾も自国も捧げた売国奴」と冷笑された。

 脱原発を掲げた政権によって再稼働していた数少ない原発も停止させられたので電力ひっ迫に陥り、全国で頻繁に計画停電が年中実施されるようになる。政府肝いりのメガソーラー開発も期待した発電量が得られず、電気代の高騰を招いた他、森林伐採による土砂崩れ、不法な廃棄ソーラーパネルによる土壌と河川の汚染を引き起こした(21世紀最大の公害「再エネ公害」と後世で語られる)。不安定な電力供給は日本の製造業の質を落とし、物資不足も相まって多くの企業が倒産に追い込まれる。生き残った企業ではAIの導入が活発になり、その為就職氷河期に陥り完全失業率は5%を記録しているが実際は非正規採用、元外国人労働者経済難民を含めると40%以上になっていた。結果、待遇の不満や過激思想(主に反日)によるテロやドローンを使った犯罪が横行し、全国の公立小学校では専用バスか親の車による送迎が義務化された他、公園から遊具が完全撤去される。出生率が1を切り、高齢者の年金問題も深刻化している。

 そんな中、難民を含め数千万人規模になった外国籍住民が、生活改善と参政権を訴えて全国デモを起こした。特に中心になったのは中国籍住民と高麗籍住民が中心となって結成した政治団体東亜総連(この時は他の外国籍住人も参加した国際色豊かな団体だった)」である。これを受けて枝本政権後に発足した法蓮政権は外国籍の地方参政権を認める法律を制定した(一部憲法問題も取り立たされたが東亜総連の圧力によって封じられる)。これが後に中国籍市長や高麗籍市長、中国籍沖縄県知事の誕生をもたらした。その後、東亜総連はさらに運動を続け、国政参加を主張するようになる。

 なお、首相辞任後の枝本氏は同じく元首相である烏山氏と共にメディアで中国本位の主張を繰り返した。また米国との対等関係を主張し反基地運動に参加するようになる。彼らの独善的な行動によって日米関係は完膚なきまでに破壊され、在日米軍撤退というアジアの安全保障の大転換をもたらす。その当時彼らは中国メディアには「良心的日本人」として祭り上げられるが、2・3年後は東亜総連の躍進の方が注目され見向きもされなくなった。

 一方、沖縄では2期目を務め3期目を目指すドニー氏が枝本政権に裏切られたことを受け「移設阻止、そして米軍基地をなくすには独立しかない」と発言。県内メディアではいかにして独立するかで持ちきりになる。これが後の中日戦争の元凶となる。

 因みに、この日本史上初の共産党影響下の左翼政権によって女性宮家設立を積極的に推進する皇室典範特例法が成立する。これにより今上天皇の娘が婚姻後も皇室に残る道が切り開かれるが、それが後に皇室と日本のアイデンティティに重大な影響をもたらすのだった。

 中国

 国内では中台統一による戦勝祝いに沸き立つ。益々独裁者としての権威が高まった慣主席は「中華民族の偉大なる復興はまだまだこれから。我々の戦いはまだまだ続く」と演説し、さらなる海軍強国を目指すため軍艦量産を命じる。また、軍用機開発促進も奨励され、ステルス爆撃機の実戦配備にこぎつける。さらにミサイルやロケット開発も推し進められて「神眼」を用いた対艦弾道ミサイルの精度向上が図られた他、大型宇宙ステーション「天宮」の建設も開始し宇宙大国としての存在感を増していった。
 軍需産業の拡大で好景気に沸き立つかに見られたが、軍事費増大を背景とした急進的な人民元増刷の影響で経済は深刻なインフレとなっていた。インフレは都市の生活を直撃し、人民の間で「仮想通貨じゃなければ野菜を買うのにバッグいっぱいのお札がいる」という名言が出るが、言論統制によりすぐに沈黙した。この頃、都市では無駄愚痴一つも監視されるようになっていたのである。警察官もロボット化しており、市民レベルでは賄賂の類が利かなくなっていた。
 国内企業は外資系も含めて共産党支部の度重なる干渉とインフレにより、次々と経営破たんに追い込まれる。政府はこれを国営化することで救済した(事実上の乗っ取り)。一方、慣主席は財政正常化を理由に国営企業の効率化を命令、経営陣の自動化が進行する。これによりAIによる新時代の計画経済が構築されていく。
 なお中国共産党内では鄧小平以降の集団指導体制を破壊した慣主席に対する反発が根強くあったが、此度の戦績により逆に崇拝者へ転じる者が続出し、共和国の「帝政化」を主張する声が上がり始める。

 朝鮮半島

 保守政権を頂いた韓国だったが、日本に対し徴用工や竹島で強硬姿勢を崩すことはなく、ついに竹島近海の上空で韓国戦闘機が日本のP-1哨戒機を撃墜する事件が起こる。日本の自制と米国の仲介で事態を収めるも、韓国内ではそのまま対日戦争すべし派と、一機堕として今は許してやれ派で分かれて論争になっていた。米国と日本からは「韓国政府は国内のナショナリズムを制御できていない」と批判が上がっていた。
 しかし、日米の政権が極左勢力に変わったことで状況が一変。韓国の主張が一方的に通ったことで支持率は過去最高になる。日本から徴用工問題を含めた日韓併合時代の清算として1兆円を受け取る。一方米国は「アジアの事はアジアに任せる」として今後アジア情勢への関与を事実上否定。在韓米軍を撤収させられるという、韓国国民にとって天国から地獄のような展開が訪れる。
 米軍の撤退後南北に緊張が走る。朝鮮戦争の再開が世界中で不安視されたが、韓国大統領は北朝鮮の指導者と電撃会談し「統一朝鮮パートナーシップ協定」を締結。南北間の終戦を宣言し、双方の国体を維持した経済協力を拡大する方針で合意した。ドイツ統一に次ぐ平和的解決に対し世界中から賞賛され、両国指導者はそろってノーベル平和賞を受賞した(日本国内でも韓国賞賛が相次ぎ、特にリベラルを標榜するある全国紙は嫌韓派を嘲る記事を載せて物議をかもした)。しかし韓国国内では北朝鮮に配慮した言論統制が始まっており、一部が日本やアメリカに移住して実態を訴えたが聞き入れてもらえなかった。
 この時、韓国の大統領は北朝鮮指導者から中露を交えたとある計画を持ち掛けられていたのだった。

ロシア

 中国の台湾侵略と並行して、ジーミル政権も今度こそウクライナ征服を目指すべく軍事行動に出る。米国が新孤立主義に転身した為に、ウクライナを支える動きはもはやなく、中国の支援を受けたロシア軍の圧倒的戦力の前に無残に蹂躙されてしまう。勢いに乗ったロシア軍はキーウを含めたウクライナの大部分を制圧、形ばかりの傀儡政権を建てた末に既に征服下に置いていたモルドバジョージアともどもロシアに編入した。

 

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(2019/9・18日 本文一部加筆修正、10/2、11/14 本分一部修正)(11/27 本文一部用語修正、12/3 リンク添付)

(2020/1/11 見やすく修正、1/12 中国系大統領についての記述を修正、5/25 本文一部加筆、2020/0710 リンク追加、2020/8/9 リンクを追加、同日 画像を追加、9/13 内モンゴルの記述を追加)

(2022/2/5 日本と中国に関する記述を加筆修正、2022/2/17 日本に関する記述を修正、2/18 アメリカの記述を修正、ロシアの北欧侵略を追加、2/27 日本に関する記述を加筆修正、4/3 ISSの将来とロシアのフィンランド戦争についてシナリオ修正、2022/6/8 加筆修正、6/9 先島諸島についてシナリオ一部変更、6/15 ロシアに関してフィンランドの記述を取り下げ)