台湾護る? 本気度疑わしき、ジョー&ヨシ コンビ

 皆さんこんにちは、4月17日にアメリカ合衆国のワシントンで我らが菅義偉総理大臣と合衆国のジョー・バイデン大統領閣下が首脳会談を行い、共同記者会見を開きました。かねてから中国問題について取り上げるであろうと予想され、「台湾」という言葉が出てきたことに例によってメディアが大騒ぎしているわけですが、これによって大きく何かが変わるでしょうか?現状は変わらないのではというのが私の予想です。

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日米共同記者会見 外務省HPより

 共同声明そのものは「理想的」の一言に尽きました。尖閣諸島への安保5条の適応や普天間移設、北朝鮮核問題や拉致事件の解決で協力し、武漢熱対策や気候問題で連携していくことを確認しました。また日米同盟の強化が謳われ、自由で開かれたインド太平洋を護るパートナーとして、東シナ海南シナ海へ手を伸ばそうとする中国に対処すること、同国の香港及びウイグル自治区での人権問題への懸念を共有すること、そして台湾の重要性についても認識を共にした内容となっています。この内容に台湾は率直に歓迎の意を示しており「インド太平洋地域の平和と安定に役立つ」とコメントしています。

japan.cna.com.tw

 声明にはAN ALLIANCE FOR A NEW ERA(新しい時代のための同盟)とあり、あたかも6年前、アメリカの上下両院合同会議で安倍前総理が演説した「希望の同盟」をなぞらえたかのようです。

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 気になったのは共同記者会見の時です。両首脳は一致して自由で開かれたインド太平洋や武漢熱対応、脱炭素化に言及しつつも、バイデン氏は中国に先行されている5Gネットワークの構築やイノベーションに言及したのに対し、菅氏は尖閣への安保5条適応や北朝鮮問題に言及するなど若干の差異がありました。国の立場があるでしょうから当然ですが、両者で共通して「台湾」や「ウイグル」には触れていないことです。産経新聞の記者が質問することで、ようやく出てきたといった印象です。

Q    (As interpreted.)  Thank you very much.  My name is Sugimoto of Sankei Newspaper.  The summit — I believe that China policy was one of the central agenda items, so my question is on China policy.  Both governments consider that peace and stability of Taiwan is of great importance and that had been the agreement between the two countries. 

What kind of exchange of views were conducted on this matter at today’s meeting?  In order to deter contingency in the Straits, what can Japan do?  And what can Japan do, when actually, a contingency occurs in the Taiwan Straits?  Did the Prime Minister explain to President Biden what Japan can do under such circumstances?

And also, were there discussions on Xinjiang Uyghur Autonomous Region human rights issue?  Grave concern is shared by the two countries, but Japan is the only G7 country that has not imposed sanctions on China.  Were you able to gain President Biden’s understanding towards such position?

PRIME MINISTER SUGA:  (As interpreted.)  As we engaged in an exchange of views over the regional situation, we also discussed the circumstances in Taiwan and Xinjiang Uyghur Autonomous Region as well.

     I refrain from mentioning details since it pertains to diplomatic exchanges, but there is already an agreed recognition over the importance of peace and stability of the Taiwan Straits between Japan and the United States, which was reaffirmed on this occasion. 

I also explained Japan’s position and initiatives regarding the situation in Xinjiang Uyghur Autonomous Region to the President, who I think understood my points.
(出典:Remarks by President Biden and Prime Minister Suga of Japan at Press Conference,ホワイトハウスHP,https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2021/04/16/remarks-by-president-biden-and-prime-minister-suga-of-japan-at-press-conference/
[機械翻訳]
Q (解釈されたとおり) ありがとうございました。 私の名前は産経新聞の杉本です。 サミットは、中国政策が中心的な議題の一つであったと思うので、私の質問は中国政策です。 両政府は、台湾の平和と安定が非常に重要であり、両国間の合意であったと考えている。

本日の会合では、この件に関してどのような意見交換が行われましたか。 海峡の不測の事態を抑止するために、日本は何ができるのでしょうか。 そして、実際に台湾海峡で不測の事態が起こるとき、日本は何ができるでしょうか? 首相はバイデン大統領に対し、このような状況下で日本が何ができるかを説明しましたか。

また、新疆ウイグル自治区の人権問題についても議論がありましたか? 両国は重大な懸念を共有しているが、日本は中国に制裁を科していない唯一のG7国である。 バイデン大統領の理解を得ることができましたか?

菅総理大臣:(解釈されたとおり) 地域情勢に関する意見交換を行う中で、台湾と新疆ウイグル自治区の状況についても議論しました。

外交交流に関する詳細については触れ控えていますが、この機会に再確認された日米間の台湾海峡の平和と安定の重要性について、既に合意された認識があります。

また、新疆ウイグル自治区の状況に関する日本の立場や取り組みについても、私の指摘を理解していると思います。

「日本の立場と取り組み」って何ですか?まさかジェノサイド条約に入ってないから日本は中国のウイグル人弾圧を静観しますという立場をバイデン氏に理解してもらったのでしょうか?
 しかも産経さん以外に日本の記者一人とアメリカの記者二人の質問があったのですが、東京五輪のことや銃規制、イランの核問題などおよそ中国と関係のない質問ばかりでした。52年ぶり「台湾」に言及したなどと騒がれている割に鮮鋭な印象はまるでありません。

政治だけ対中対決のジョー、対中配慮満々のヨシ

 台湾の重要性を強調しているアメリカは台湾を訪問するパラオ大統領に大使を同行させたり、「ジャパンハンドラー」でお馴染みのアーミテージ氏ら3人の要人を送り込んだり、政治面における活動を活発化させています。それに対して中国は戦闘機を台湾の防空識別圏に十数機も大々的に侵入させて軍事面での活動を活発化させている状況です。このままエスカレートとすればよもや米中戦……となるのが大方の人の考え方でしょう。

 けれど本当にそうでしょうか?もちろん意図しない形での武力衝突は十分あり得ます。しかしアメリカが、バイデン政権がそれを望んでいるかは別な話です。

 それを象徴するものとして4月9日に出された2022年度予算教書があります。そこで国防予算は7530億ドルとなっており、ペンタゴン単体への予算は7150億ドル、トランプ前政権に比べほぼ横ばいとされています。

バイデン米大統領は9日、2022会計年度(21年10月~22年9月)の予算教書で、国防関連予算として7530億ドル(約82兆6千億円)を議会に要求した。トランプ前政権下で成立した21会計年度に比べ1・7%増えた。国防総省単体の予算としては7150億ドルを要求。同省の「最大懸案」である中国の脅威への対処に向けた「太平洋抑止構想」の推進に向けた予算が必要だとしている。(出典:バイデン政権の国防予算約83兆円,産経新聞電子版,2021.4.10,https://www.sankei.com/world/news/210410/wor2104100011-n1.html

 しかしミリタリー系の情報を配信しているブログ「航空万能論」さんによれば、海外緊急事態対応基金(OCO)が廃止されるため、実質500億ドルの削減だそうです。

grandfleet.info

 同基金アフガニスタン戦争とイラク戦争への戦争資金だったので廃止するのは妥当ではありますが、それが実質非戦闘時の装備費代わりに使われていただけに、ペンタゴンは予算の国直しを強いられるとのことです。対中国と大見得を張っている状態での軍事費削減。よほど中国を甘く見ているか、パフォーマンスだけの対中強硬姿勢のどちらかでしょう(普通に考えれば後者です)。

 方や日本ときたらため息が出る状態で、ウイグル問題で欧米がジェノサイド認定していても、ジェノサイド条約に入ってないことを理由に「認定しない」と言ったり、尖閣で中国海警がしきりに侵入を図るのに海保の体制を現状維持にしたりと、素人目に見ても中国配慮が滲みだしています。

 

hatoyabu01.hatenablog.com

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  こうした現状を踏まえてから声明を見ると、どこか看板倒れのような、見掛け倒しのような印象を持ってしまうのです。

 ぜひ日米両国にはこの声明を口先だけに留めず、実効性ある政策として推し進めて頂きたい。

 

(2021/4/20 日時表記を修正)