海保よ、隊員達を犬死させるおつもりか

 皆さんこんにちは、ハトヤブです。4月は変化の季節です。新たな環境、新たな新生活を送られる方も多いと思います。特にこんにちは武漢熱の脅威の中だけにあまり明るい気分にならないかもしれません。
 今の世界情勢、日本の安全保障も明るくないです。それも"変化がない"ことがその根底にあります。人は自ずと変化を嫌うもの。ですが周囲の環境が変われば、そうも言えないハズなのに変わらない。これが日本の病理です。

 悠長な部会提言と限界間近の現場

 4月1日の国防部会・国土交通部会・安全保障調査会合同部会で尖閣諸島の防衛に関する提言をまとめました。その内容がひどい事ひどい事。

 自民党の国防部会、国土交通部会などが1日にまとめた尖閣諸島沖縄県石垣市)の防衛に関する緊急提言をめぐっては、海上保安庁法の改正の是非で両部会の意見が真っ向から対立した。自衛隊派遣の前段階として海保の機能を強化するため、同法改正の必要性を訴える国防部会に対し、国交部会は改正は不要と主張。最終的には「必要があれば法整備も検討する」との“玉虫色”の表現で決着した。(出典:自民尖閣提言 玉虫色の決着 国防部会・国交部会 意見対立,産経新聞電子版,2021.4.5,https://www.sankei.com/politics/news/210405/plt2104050041-n1.html

 玉虫色なんて文学的にはよくても事実を伝える新聞には不適格でしょう。何のことはない問題の先送りです。国防部会と国土交通部会で一致点が出なかったのです。「必要なら法整備を検討する」とありますが、期日を決めない検討するほどあてにならないものはありません。国土交通部会側は「法改正は必要ない」とちゃっかり言っちゃってますから、国土交通省がひっくり返らない限りないでしょう。5年後か、10年後か……。その時には尖閣どころか沖縄も中国のものになってそうです。

 永田町がこんな有様な一方で現場の方は緊迫した状態が続いています。特に海保の方では中国に物量戦に対し、綻びが出始めております。海保の巡視船が故障し、一時航行不能に陥ったのです。

 尖閣諸島沖縄県石垣市)周辺で領海警備に当たっていた海上保安庁尖閣専従巡視船が1月、任務中に故障し、一時、航行不能状態に陥っていたことが21日、海保関係者への取材で分かった。老朽化が原因とみられる。尖閣では中国海警局の船による領海侵入が相次ぎ、中国は2月、海警局の武器使用を認める海警法を施行するなど日本の有効支配を覆す動きを強めており、装備の刷新も含めた対策が急務といえそうだ。(出典:尖閣巡視船、一時航行できず 昭和55年建造…老朽化で故障か,産経新聞電子版,2021.3.21,https://www.sankei.com/affairs/news/210321/afr2103210007-n1.html

 以前の記事で少し触れたのですが、海保は海自より船舶を長く運用します。一番長いものが1978年に竣工されたPLH01「そうや」で、運用年数は何と43年です。

 

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 件の巡視船PLH04「うるま」も1980年竣工というご長寿船でした。

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(出典:那覇海上保安部ホームページより)

 2月の国防議連の会合で招かれた海保が「現状で対応できており、法整備の必要のなし」と大見得を張っていた矢先のことです。何で長寿船を激戦区に送ったのでしょうか?年にちょくちょく新ピカ巡視船を取得するだけでは対応できないことの証左ではないでしょうか?毎年12月に行われている「海上保安体制強化に関する関係閣僚会議」で碌に議論もせず、海保の出した案を丸のみにしているからこうなるのです。今年は有識者会議にして現場の隊員たちや海自の制服組を招いてみてはどうですか?

 海保以上に過酷なのは現地で漁を営む漁家の方々です。日々中国海警(警察の仮面をかぶった第二海軍)に追い回され、沖縄メディアからは「活動家」扱いされる始末。特に心に刺さったのが宮古島の漁師の次の言葉です。

「中国は日本の漁船を尖閣に寄せつけないようにして、実効支配を奪うつもりだろう。漁師が行かないと『尖閣は中国のもの』という既成事実ができてしまう。僕は頑張って行こうと思っている」(出典:「偽装漁船」中国海警局船から執拗な接近と追尾 漁師を嘆かせる尖閣海域の異常、行かないと「中国のもの」という既成事実が,ZAKZAK,2021.4.7.,https://www.zakzak.co.jp/soc/news/210407/pol2104070003-n1.html

 彼の心意気に頭が下がる思いです。褒められもせず、同情すらされず、もし何かあっても補償がないだろう状況で踏みとどまるのは、利益も注目も求めていない、純粋な地元への愛があってこそでしょう。彼の安全を切に願うばかりです。
 この状況を知ってか知らずか「検討する」と宣っている永田町の呑気さに腹が立ちます。

 ネグレクト自民党カミカゼ海保

 いつやるかはわからないとはいえ法整備を「検討する」があるならまだ救いはあるじゃないか、と思われる人もいるでしょう(そう思わないと絶望しかないでしょう)。しかし、提言がまとまる前日の様子をうかがう限り、望みは薄いです。3月31日に行われた合同会議では海保が軍に属さないことを定めた第25条の削除を提言に入れる案が出ましたが、国土交通部会議員の強硬な反対を受けてしまいました。その時に言った内容を参議院議員 青山繁晴さんが動画で伝えております。

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……そしたら強い反論が国防部会でいつも見る人からは全くなくて、国土交通部会の普段全く(青山さんが)見ない人から出たんですけど、ここ(部会資料のメモ)に思わず書いたんですけど、「9条というものがあるわけですよ!9条というものがあるわけですから、25条の削除なんてとんでもないです!海上保安庁は触っちゃいけないですよ!」で時々話している人(青山さんに反論する議員)からね「日本は他人を傷つけない国でやってきた!それは変えちゃいかん!ましてや命を奪うかもしれないことはあってはいけない!」……ということは尖閣諸島は差し出せということですねと……(出典:【ぼくらの国会・第137回】ニュースの尻尾「恐るべき“自民党”の実態」,青山繁晴チャンネル・ぼくらの国会,2021.4.9,25:28-26:19)

  開いた口が塞がらないといいますが、自民党にもいたんですね。言っている言葉は綺麗ですが、それはまんま左翼界の9条の会だの、ピースボートだのと呼ばれる人たちとそっくりです。これをして実際聞いた青山さんや保守派の方は「お花畑」という言葉を思い浮かべるでしょうが、私はもはや一種のエスノセントリズム(自民族中心主義)に近いものを感じています。活動家として生業としてるならともかく、日本の脅威について知る機会がない立場ならともかく、立法を預かる国会議員が、それも政権を担う与党議員が、神格化された9条の思想に溺れるなんてとんでもないことです!今まさに漁家の方々が危険にさらされ、海保の隊員たちの命が奪われるかもしれない状況でそんな妄執に取りつかれるのは、母親が本来守るべき子供を見捨てるネグレクトに近い大罪です。

 言葉が綺麗と言えば海保の発行しているパンフレットでこんなのを見つけました。2014年版と少し古いのですが、その特集に海上保安庁の精神が謳われているのです。

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(出典:海上保安庁ホームページより)

正義仁愛」というそうで1948年5月1日に発足して以来、ずっと受け継いできた伝統だそうです。この言葉は度々引用され、2019年のパンフレットにもあります。

 美しい言葉ですが、その精神を高らかに掲げながらボロ船を繰り出し、第25条の「軍に属さない」というプライドだけで、あの海軍並みの力を持つ中国海警に立ち向かう様は、失礼ながら大東亜戦争末期の「必勝」の精神で敵に突っ込む神風特攻隊を想起してしまいます。潔い美学も分からなくはないですが、そのために犠牲になるかもしれない現場の隊員を思うと、戦後日本の平和教育って一体何だったのだろうと悲しくなります。

 不肖私の未来予想では海保が中国に一方的に攻撃され、無残に捕らえられるシナリオとなっております(海保の皆さんごめんなさい)。けれどそのシナリオがどんどん現実味を帯びている現状に胃が痛くなります。今後自民党の国防議連などではいかなる流れで自衛隊を出動させるかで議論することになるでしょう。しかしそれは海保の犠牲を抑えることとセットでやらなければなりません。もし海保の隊員が無残に捕らえられて、殺されている状況で「海保が沈んだ。さあ、次は海自だ」と行けるのかと。隊員の解放と遺体の帰還を結局優先してしまうように私には思えてならないのです。

 

 海保は自力で中国海警に対処できてない現実を直視し、日本の領土を護るため、現場の隊員と日本の漁家を護るため、自分たちの体制を護るのを止めませんか?

 

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 (2021/04/15 タイトル変更、最後に提言を追加)