オバマ・トランプ・バイデン3代政権が飾る超大国の終焉

 皆さんこんにちは、ハトヤブです。本日就任するジョー・バイデン氏は私の未来予想シミュレーション戦記に登場する「バルデン大統領」のモデルになっている大統領です。この大統領の任期中に起こることは、私の予想が正しければアメリカの時代の終わりという現象でしょう。

 いや、あのアメリカが終わるとか有り得へんだろと思ったあなた。日本国民なら学生の頃、国語の授業で平家物語祇園精舎を読んだことがあるでしょう?

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の断りをあらはす。驕れるものも久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛きものもつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

 この言葉のように覇者は必ず失墜するのが日本史だけでなく、人類史の宿命となっています。地中海をまたにかけたローマ帝国も今は跡形もなく、日の沈まぬ帝国と呼ばれたスペイン帝国大英帝国も今は一中堅国家に納まっています。これらと同じように超大国アメリカもいつかは普通の国に戻る日が来ると考えるのは自然なことです。

 世界の警察を辞めたオバマ大統領

 綻びの発端はブッシュ・ジュニア時代の9.11同時多発テロから始まり、アフガニスタン戦争、イラク戦争と中東への軍事介入が続きます。タリバン政権やフセイン政権は難なく倒せましたが、国の体をなしてないテロリスト集団との戦いは困難を極め、米軍の疲弊をもたらしました。そこへ追い打ちをかけるようにリーマン・ショックが起こり、世界同時不況に見舞われます。その時に世界経済を牽引したのが中国です。まるで世界恐慌ソ連みたいですね。

 その後現れた大統領はこれまでのアメリカの常識を逸脱し、大きな路線変更を象徴する者でした。お分かりの通り、オバマ大統領です。米国史上初の黒人大統領である彼はブッシュ・ジュニアを批判して選挙に勝った背景から、軍事介入に消極的になりました。果ては核なき世界の演説を行い、ノーベル平和賞を受賞するまでになりました(ここよく覚えといてください!)。印象的だったのは「アメリカは世界の警察ではない」と謳った演説です。

オバマ大統領は、シリア内戦に関するテレビ演説で、退役軍人などから、「米国は世界の警察官でなければいけないのか」という書簡を受け取ったことを明らかにし、次のように述べた。

「米国は世界の警察官ではないとの考えに同意する」。

(出典:惠谷 治,「世界の警察官をやめる」と宣言したオバマ大統領,ダイアモンドオンライン,2015.8.5https://diamond.jp/articles/-/75884)

 実際のところイラク戦争は終わらせましたが、中東への駐留は続き、ビンラディン氏殺害リビア内戦介入、IS(自称イスラム国)への攻撃は行っております。それでも空爆無人機の運用だけに留まり、地上軍の派遣には消極的でした(ISとの戦いではイランの協力を借り、それが核合意に結びつきました)。

 警察なき世界で暴れる中露

 この消極的なアメリカを見て増長したのがロシア中国です。ロシアはウクライナの政変に反発してクリミアへ武力侵攻し、住民投票を演出して自国に編入しました(事実上の国境書き換え)。さらにはウクライナ東部への侵略も内乱を装って行い、分断状態が今も続いています。これにオバマ政権は強い態度は示したものの、湾岸戦争のような介入は行わず経済制裁に留めました。

 これよりもっと酷いのがアジア政策で、就任初期はアジアリバランスを掲げ、中国市場目当てに米中蜜月を演出します。この結果起こったのは日本の尖閣諸島への挑発南シナ海での人工島の建設です。そして覇権主義に燃える習近平総書記から太平洋を米中で二分割する提案をされます(後のトランプ政権も同じ提案をされています)。

これを端的に表現したのが習主席がオバマ大統領に言い渡した「広く大きな太平洋には米中の両大国を受け入れる十分な空間がある」という言葉だ。習発言からは、中国海軍にとって西太平洋への入り口に位置する尖閣諸島の重要性も見えてくる。当然、オバマ大統領は簡単には乗れない。(出典:中沢克二,米中、緊張含みの緊密化 首脳会談、異例の8時間,日経経済新聞電子版,2013.6.10,

https://www.nikkei.com/article/DGXDASGM0900Z_Q3A610C1EB1000)

 要はアジアから米軍が出ていき、日本の安全保障からも手を引けといっているのです。日本を含めたアジア諸国を国とも思わない身勝手な発言です。またアジアインフラ投資銀行(AIIB)など米国抜きのアジアを志向し、自らのそのトップになる事を堂々と主張しました。

 終盤のオバマ政権は対中強硬姿勢に転じたものの、米海軍の軍艦を中国の人工島が建設された南シナ海へ送るだけの「自由の航行作戦」しかできませんでした。ブッシュ大統領イラク戦争を批判した都合上それ以上の戦闘に踏み込むことができないのです。中国が核保有国であることもあるでしょう。

 孤立主義に舵を切ったトランプ大統領

 次の大きな方針転換を図ったのが強烈なキャラクター性でおなじみのトランプ大統領です。忘れもしない彼が就任して一番初めにしたことは日本やシンガポールニュージーランド、オーストラリアなど12か国の太平洋諸国ですり合わせていた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの脱退です。

トランプ大統領は23日、ホワイトハウス内で「TPPから永久に離脱する」とした大統領令に署名し、再交渉などの可能性も明確に打ち消した。12カ国で大筋合意したTPPは、米国の批准に向けた行政手続きが完全に止まった。トランプ氏は「(TPP離脱は)米労働者に素晴らしいことだ」と述べた。(出典:トランプ氏、TPP「永久に離脱」 大統領令に署名,日本経済新聞電子版,2017.1.24,

https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H1X_U7A120C1MM0000)

 シンガポールブルネイニュージーランド、チリから始まったこの協定はアメリカと日本の傘下によって巨大な経済圏となって増長する中国に対抗する象徴になるはずでした。国内ではアメリカ主導で日本経済と雇用に悪影響があると異論が相次ぎ、当時参入を決めた民主党政権崩壊を早める遠因にもなったほどです。それを引き継いだ安倍政権は甘利氏による懸命な交渉の末、日本にも受け入れられる条件にすり合わせるに至っていたのです。それをトランプさんは自国の都合だけでちゃぶ台返しにし、アメリカの都合のいい形自由貿易協定(FTA)を結ばせたのです。これが彼が大統領就任時に公約したアメリカファーストです。

 彼はその後続々と国家間の取り決めから離脱していきました。地球温暖化対策を地球規模で取り決めるパリ協定、イランの核開発を期限付きで制限するイラン核合意、米ソで核弾頭を搭載した中距離ミサイルの全廃を実現した中距離核戦力全廃条約(INF)、非武装での偵察機の運用を認めるオープンスカイ協定、そして世界規模の感染症対策に取り組む世界保健機構(WHO)からも脱退する方針を示しています。それぞれの背景を見れば納得できるものもあるものの、その稚拙無遠慮なやり方は世界のリーダーとしてのアメリカの地位を大きく貶めるものでした。所謂孤立主義モンロー主義の再来と言えるでしょう。

 世界の守護者を辞めたアメリ

 挙句の果てはアメリカが長年継続してきた安全保障戦略にも物申し始めます。かねてからトランプさんは世界に駐留する米軍の撤収を公言しており、日本が在日米軍の駐留費を全て負担しないなら撤収するぞと就任前から発言しています。幸い安倍前首相との個人的な信頼関係ができたことで日米関係が揺らぐことはありませんでしたが、日米同盟の片務性には度々苦言を呈しております。

トランプ氏は「日本が攻撃されれば米国は第三次世界大戦を戦う。私たちはいかなる犠牲を払ってでも日本を守る。だが、米国が攻撃されても日本はそれをソニー製のテレビで見ていればいいのだ」と語った。(出典:トランプ氏「日本は米国を守らない」 米FOXビジネスのインタビューで,産経新聞電子版,2019.6.27.,

https://www.sankei.com/world/news/190627/wor1906270050-n1.html)

 これを左翼は全く重く見ず、保守も「日本も負担を負っている」と反論するだけでしょうが、私は深刻な事態と受け止めます。なぜならこれまでアメリカは我が国を軍事強国にさせない瓶のふたと世界覇権を維持する重要拠点と成す為に同盟を維持しており、我が国も低コストで世界4位の海洋資源シーレーン恩恵にあずかるために同盟の継続を望んでいるのです。それを彼は完膚なきまでに否定したのです。それがドナルド・トランプ個人の考えならいいのですが、2億人の米国有権者の総意だとしたら笑ってはいられません。

 彼の安保戦略見直しはそれに留まらず、在韓米軍NATO中東に駐留している米軍にも及びます。特にシリアから撤退後、ISとの戦いで共同戦線を張っていたクルド人部隊がトルコ軍の攻撃を受けても援護しようとはしませんでした。

 トランプ大統領は10月9日、クルド人部隊を見捨て、シリア北東部に駐留する米兵を撤退させた自身の決断を改めて擁護した。クルド人第二次世界大戦アメリカを助けなかったからだという。

(中略)

9日の"第二次世界大戦"発言の直後、報道陣にシリアからの撤退やクルド人部隊の扱いは、他の潜在的アメリカの同盟国に対し、負のメッセージを与えたのではないかと尋ねられたトランプ大統領は、「同盟はものすごく簡単だ」と答えた。アメリカにとって、新たなパートナーシップを組むのは「難しいことではない」という。

そして、「我々の同盟国」は「我々に大いに付け込んできた」とも述べた。

(出典:John Haltiwanger,「同盟は簡単」「第二次世界大戦で我々を助けなかった」トランプ大統領クルド勢力を見捨てたとの批判に反論,BUSINESS INSIDER JPAN,2019.10.10.,

https://www.businessinsider.jp/post-200340)

 このロジックに従えば日本はアメリカを助けるどころかなので見捨てていいことになります。さすがにそれは冗談だとしても“「我々の同盟国」は「我々に大いに付け込んできた」”という発言は日米同盟の片務性への苦言と根っこは同じです。つまりアメリカはこの時をもって世界の守護者を止めたということになります。

 こう書くと日本のトランプ支持者の方々から「お前、ここ一年のトランプ閣下の素晴らしい業績無視してるだろ?」と抗議されますね。はい、就任初期、北朝鮮政策で中国に協力を求め、習近平総書記と「馬が合う」と言ったトランプさんですが、貿易交渉の拗れと米国国内への工作の深刻さから「アンチ・チャイナ」へと転じました。2018年10月にはペンス副大統領中国共産党政権への強硬姿勢を示す演説をし、昨年7月がポンペオ国務長官自由主義共産主義との対決を説きました。そして香港人権法をはじめ台湾旅行法台湾保障法を制定し、さらにウイグル人権法チベット支援法までできました。大変素晴らしいです。

 でもそれだけです。要は中国の暴虐に対してアメリカ一国が経済制裁をするのみです。香港の弾圧に米軍が介入するわけでもなければ、台湾に再駐留するわけでもありません。湾岸戦争の時とは大違い、オバマ政権の対ロシア制裁と何が違うのでしょうか?

 さらに付け加えるとトランプさんは任期中ノーベル平和賞を受賞することに腐心しておりました。そうです。オバマ大統領も受賞していたあれです。2019年は北朝鮮問題で安倍さんから推薦してもらい、2020年は中東アラブ諸国イスラエル国交正常化の仲介として推薦されました。平和賞受賞を望む人が中国と本気で戦うと思います?

 中国べったりのバイデン新大統領

 さて最後に新大統領のバイデン氏ですが、彼は専ら親中として有名な人です。それを証明する上で有名なのは、2013年冬に中国が尖閣上空に一方的に防空識別圏を設定した時の対応です。この時副大統領だったバイデン氏は、訪日して当時首相だった安倍さんと会談するのですが、日米共同で中国に撤回を求める彼の提案を拒否したのです。それだけなら世界の警察を止めたオバマ政権外交政策に従ったとも取れますが、当時日本の野党党首の海江田氏と会談した時に「習近平に迷惑はかけられない」と漏らしたのです。以下は中国の報道です。

なぜ米国は安倍首相の要求を拒んだのか。その理由については会談で明かされることはなかったが、3日午前に海江田万里民主党党首と会談したバイデン副大統領は本心を漏らしていた。「習近平国家主席は事業を始めた苦しい時期にある。彼に面倒をかけられない」、と。どうやら米国人は口では日米同盟を高らかに歌いながら、心ではひそかに中国に配慮しているらしい。(出典:「習近平に迷惑はかけられない」とバイデン副大統領、米国の日本支持は口だけだった―中国メディア,Record China.,2013.12.5.,

https://www.recordchina.co.jp/b80065-s0-c10-d0042.html)

 日本の野党も基本的に親中ぞろいですから、仲間意識のようなものを感じてつい口を滑らせたのでしょう。日米の新聞社は一切関心を示していませんが、バイデン氏も海江田氏も否定していませんから一概に作り話とは言い切れません。現に最近でも口先だけ外交はいかんなく発揮されているからです。

 菅義偉首相は12日、米大統領選で当選確実と報じられた民主党ジョー・バイデン前副大統領と電話会談を行った。バイデン氏は、中国の軍事的覇権拡大で緊迫する沖縄県尖閣諸島について、日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であるとの見解を示したという。ところが、政権移行チームのホームページ(HP)に掲載された発表文には「尖閣諸島」の文字がないのだ。「親中派」とされるバイデン氏だが、まさか日本には「口先外交」で対応し、中国にも配慮したのか。(出典:バイデン氏“口先外交”か 公表文書に「尖閣」明記なし 菅首相と電話会談で明言も…中国配慮か,ZAKZAK,2020.11.13,

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/201113/for2011130008-n1.html)

 基本的に電話会談は実際に会談して共同声明を出すのに比べれば、政治的重みはないのでしょうが、日本との会談では尖閣に言及しながら然るべき公の場所に記入しないのは、重要でないと判断したか、中国に配慮したかのどちらかでしかありません。前掲の記事を見るに理由は考えるまでもないでしょう。

 もっとも中国に甘いということが有名すぎるために批判を避けようと対中強硬になるという意見もあります。また、民主党及びアメリカの国として中国の人権侵害を不問とすることもできないから宥和に走れないとする指摘もあります。実際、香港人権法などは共和・民主一致で可決されたものですから、大統領といえど独裁者ではないのでこれをひっくり返すことはできないでしょう。

 しかし中国側にとってすれば、別に甘やかして欲しいわけではなく、アジアで自分たちが何をやってもアメリカが手出ししてこないのが望ましいので、バイデン新政権が親しき習近平総書記にする最大の宥和政策は何もしないだけでいいのです。口先だけ批判して終わり……。少し前の米国なら有り得ないでしょうが、オバマ政権で世界の警察を辞め、トランプ政権で世界の守護者を辞めている現在なら難しいことではありません。仮に制裁するとしても、トランプさんを批判していた都合上とてつもなく生温いものになるでしょう。

 アメリカが世界のリーダーを辞める日

 そんなバイデン新大統領がする大転換アメリカを世界のリーダーから降ろすことです。勿論本人にそのつもりはないのですが、トランプさんを大統領から引きずり下ろす為だけに民主党から選ばれた彼は、トランプを否定するあまりアメリカの地位を貶めることになるでしょう。

 まずバイデン氏は大統領就任一日目にトランプさんが脱退を表明した世界保健機構(WHO)への復帰を宣言すると公言しています。

バイデン氏は7日、ツイッターで「米国が国際公衆衛生の強化に関与することで、米国民はより安全になる」と強調。大統領選で勝利すれば、来年1月の就任1日目にWHO復帰を表明すると述べ、「私は国際舞台でのリーダーシップを回復する」と訴えた。(出典:WHO脱退、大統領選の結果次第 バイデン氏「復帰」約束―米,時事通信社電子版,2020.7.9.,

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070800896&g=int)

 このWHO、知っている人はいるかもしれませんが、事務局長のテドロス氏が中国と深い関係で、武漢熱への対応も中国配慮が目立ったために批判にさらされていました。トランプさんの脱退表明はこれに起因するのですが、無条件で復帰を公約したバイデン氏にこれは追求できるでしょうか?できるわけありません。また、パリ協定への復帰も公約していますが、そこで厳しい排出制限や新産業のシェールガス採掘の制限を言い渡されても、おいそれと断る事もできなくなります。つまり、ことごとくアメリカ主導の世界が音を立てて崩れ去っていくのです。

 中でもバイデン氏が大統領就任後、真っ先に取り組まないといけないのが武漢熱対策……なのですが、外交面ではイラン核問題が急務となっております。というのも昨年12月、イランの護憲評議会で二か月以内に制裁が解除されなければ核開発を促進する決定を下しているからです。

法案は、核合意の枠組みを維持する欧州諸国がイランに対する石油・金融セクターへの制裁を2カ月以内に緩和しない場合、国際原子力機関IAEA)の抜き打ち査察を認める追加議定書の履行停止やウラン濃縮度引き上げなど、核合意の制限を破ることを求める内容。(出典:イラン護憲評議会、核開発拡大法を承認,大紀元時報日本語版,2020.12.3.,

https://www.epochtimes.jp/p/2020/12/65418.html)

 記事は12月の初めですから、2か月となれば後十日ちょいしかありません。本格的に開発が始まってしまえば、核合意の枠組みに戻すのは困難です。けれど、バイデン氏はイラン核合意への復帰も公約しているため、それを実現するためにイランに課していたウラン濃縮制限等について妥協する可能性もあります。それを見越してかイランはすでに20%ウラン濃縮を始めているそうです。

 

 これから私たちが見るのは世界をけん引できない頼りないアメリです。それによって左翼は勿論、保守派の中にもアメリカを見限る者が必ず出てくるでしょう。それが日本の自立に向かうならいいのですが、勢いの増している国へ乗り換えるという主張には注意が必要です。それが私の反対する日中同盟となってしまうでしょうから。

 

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 衰退するアメリカから中国へ乗り換えた日本の末路がこちら

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