トランプ氏の復活はないかもしれない

 皆さんこんにちは、ハトヤブです。アメリカの大統領選挙は大混乱になってしまいましたね。方や不正選挙、方や民主主義の勝利など情報や主張が錯綜しておりますが、とりわけ日本保守のトランプ熱が激しかったですね。

 何が起こるかわからない世の中ですが、この時期までくればトランプさんに逆転の可能性はほぼないでしょう。また気持ちを切り替えて4年後に復活を望む穏健保守もいらっしゃるようですがその可能性もまた低いと予想しております。

 不正は隠し味!?古いままな米国の選挙制度

 今回、バイデン陣営に不正があったかどうかは詳しく触れません。真偽も分からない上、全貌が明らかになるまでに時間がかかるのです。たかがひと月程度で何とかなるようなものではありません。貧困との戦いで有名なリンドン・ジョンソン第36代大統領1948年上院議員選挙で不正をして勝利していますが、真相がわかったのはかなり後になってからです。

  こうした前例があるのなら不正で当選したと言われるバイデン政権が少なくとも任期中に揺らぐことはないし、むしろ国政安定のために米国保守層も火消しに動く可能性さえあります。戒厳令の可能性も、成熟した民主国家として選挙を否定することになるためほぼあり得ません

 そもそも米国大統領は米国国民によって選ばれていない事実があります。大統領候補に票を入れるのは米国民が選んだ選挙人です。この選挙人たちは予めどちらの党に投票するか誓約をしており、州ごとに人数が決まっているのですが、投票で過半数を取った候補が全て総どりすることになっております(一部例外あり)。それでいてなんと彼らは自分の意思で誓約を違反して別の人に投票することが許されています(ただし少ない)。

 そもそも選挙人制度とは、1787年の合衆国憲法制定時に導入された非常に古い制度だ。当時は識字率が低く、テレビなどのメディアもなかったため、一般の人々が大統領候補の主張を理解するのが難しかった。そのため地域の名士、知識人などがあらかじめ選ばれ、彼らの判断に託す、というのが目的だった。

(出典:土方細秩子,選挙人制度はもう古い、改革はありえるのか,Wedge Infinity電子版,2020.10.29.https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21201)

 この制度のせいで全体の得票率が下回っている候補者が勝つことがあるのです。他でもない2016年の大統領選挙ではヒラリー氏より得票率が下回っていたにもかかわらず、トランプさんが勝利しました。

 以上からいえることはバイデン新政権も民主党も選挙改革や不正対策には消極的になるだろうということです。長い間この問題を放置し続けて、トランプさんもまた放置していたわけですから、よほどのことがない限り動くことはありません。自分達が勝ったならなおさらです。あとは共和党がどう動くかですが……。

 大統領を降りたトランプさんの運命

 では来年1月に大統領でなくなったトランプさんがどうなるかですが、一部の保守派は選挙不正を追及しつつ4年後の大統領選への復活を目指すと期待しております。その根拠は7千万もの得票数です。バイデン氏の8千万(疑惑)には負けても共和党でそこまで票を得られる有力候補が現状ではいないからです。

 けれどちょっと疑問がわきます。今は負けても4年後に再挑戦できるなら、なぜ今不正を訴えてぎりぎりまで戦おうとしているのでしょうか?上述したように不正の歴史は少なからずあります。1960年の大統領選挙でも勝ったケネディに不正疑惑はありましたがニクソンは黙認し、その後1968年に大統領選で当選しております。つまり引き際が良い方がベターだったのではないかということです。

 その考察の参考としてイギリスBBCのこんな記事を見つけました。トランプさんには女性問題やら脱税疑惑やら詐欺疑惑やら、色々な訴えがかけられているのです。

現職大統領は訴追しないという米政府の不文律のもと、ドナルド・トランプ大統領は刑事・民事を問わず、訴訟や捜査から事実上は守られてきた。大統領選に敗れたトランプ氏が来年1月20日に民間人に戻ると、事態は変わるのだろうか。

すでに複数の側近に恩赦を与えたり刑を免除したりしてきたトランプ氏は、家族や側近、ひいては自分への恩赦を検討していると報道されている。(出典:トランプ氏にかかわる複数の訴訟や捜査 大統領でなくなったらどうなる,BBCnewsJAPAN,2020.12.25.,

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-55198074)

 この訴えがすべて通るとは考えられないし、仮に通ったとしてもトランプさんが訴追されないためにホワイトハウスに籠るわけではありません。けれどトランプさんはきっと「二度目はないかもしれない」と心の底では思っていて最後まで戦おうとした可能性があります(勿論許されるなら挑戦するでしょうけど)。

 現状私の予想では1月で大統領を退任した瞬間にメディア総出のトランプ叩きが始まります。これは半年以上も続き、隠れトランプと呼ばれていた多くの支持者は、降りかかる火の粉を避けるために離れていくでしょう。その証拠にトランプさんのおひざ元であるはずの共和党では既に不協和音が流れ始めています。

トランプ大統領は24日、ツイッターに投稿し、共和党の上院トップ、マコネル院内総務ら、少なくとも上院議員8人が先月の上院議員選挙で自分のおかげで当選したと主張しました。

そのうえで「彼らは今、私が過激な左派の民主党と戦っているのを傍観している。私は決して忘れない!」と書き込み、共和党の幹部たちが大統領選挙の不正を訴える自分を支持しないとして批判しました。(出典:トランプ大統領 自分を支持しない共和党指導部との亀裂表面化,NHKオンライン,2020.12.25.,

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201225/k10012783521000.html)

 まさに泥船から逃げ出すと言うべきか、7千万票も得たはずの彼から距離を置くというのは余程のことです。

 恐らく今後トランプさんは自分への訴追に応じつつ選挙不正を追及し続けるために保守派中心のビジネスを創めることでしょう。民主党のサンダース氏が左に振り切れているように、に振り切れるのです。そうなれば支持者はさらに減り、4年後には共和党の公認すら受けられず、リバタリアン党のような第三の泡沫政党無所属での出馬を余儀なくされます。ここまで来たら大統領として返り咲く可能性はほぼゼロです(でもビジネスは成り立つ)。

 バイデンだからって反米になるな!

 私が恐れていることは日本保守のトランプ支持層がバイデン政権の米国を「トランプなき米国は同盟国じゃない」と言って敵視する危険性です。つまり反米になってしまうことです。勿論バイデン政権が中国に甘くなるのは目に見えているし、尖閣有事とかで日本を見捨てる可能性があります。北朝鮮保有も認める可能性もあります。もう米国に頼れなくなるのは間違いないですが、だからと言って戦略もなしに反米に走った場合、自ずと中国へ接近する結果をもたらします。そうなれば悲劇、日中同盟へまっしぐらです。

 ここでソ連崩壊を予言したフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏によるトランプ政権の評価を紹介します。

トランプは下品で馬鹿げた人物であり、私自身も人として、とても許容できません。しかし、今回再選できなかったとはいえ、過去4年間にすでになされたトランプ政権による“政策転換”が、おそらく“今後30年の米国のあり方”を方向づけることになる。「保護主義」「孤立主義」「中国との対峙」「ヨーロッパからの離脱」というトランプが敷いた路線は、今後の米国にとって無視し得ないもの。その意味で“トランプは歴史的な大統領”である、と見ているわけです

(出典:「それでもトランプは歴史的大統領だった」バイデン民主党の“どうしようもない空虚さ”の正体,文春オンライン,2020.12.16.,https://bunshun.jp/articles/-/42201)

 トランプさんの言動は稚拙でしたが、言っている内容や目的は間違っていませんでした。今は見向きもされなくても後世で必ず再評価される時が来ます。まるで政界のモーツァルトというべき存在でしょう。その時が来ることを信じて私たちは自立した日本を再建して生き残りましょう。

 追記:最悪の幕引き

 事実は小説より奇なりと言いますが、ここまでとは思いませんでした。

 1月6日、米国連邦議会議事堂にトランプ支持のデモ隊が侵入し、4名死亡する事件が起きました。バイデン氏の大統領当選を正式に確定させる上下両院合同会議に抗議したもので、議員たちが議場から退避する事態となりました。

米大統領選で民主党のバイデン前副大統領の当選を公式に確定させる上下両院合同会議が行われていた連邦議会議事堂に6日、大統領選で敗北した共和党トランプ大統領を支持するデモ隊が侵入し、上院本会議場を占拠した。選挙結果の確定手続きは中断され、議事進行役のペンス副大統領や上下両院議員らは議場から一斉に避難した。(出典:トランプ支持者が議会議事堂に侵入 バイデン氏勝利確定に反発,産経新聞電子版,2021.1.7.,

https://www.sankei.com/world/news/210107/wor2101070008-n1.html?utm_source=coins&utm_medium=push&utm_campaign=COINs)

 暴徒化したデモ隊の詳細は知りませんが、デモそのものはトランプさんがTwitterで呼びかけていたのですから最悪です(一応、デモ隊に自制は求めていたようですが手遅れです)。Twitterは彼のアカウントを永久凍結しました。欧州のドイツも事件に非難の声を上げ、自国第一主義で波長が合っていたイギリスのジョンソン首相もトランプさんを批判しております。

トランプ米大統領の支持勢力による連邦議会議事堂乱入事件を受け、ジョンソン英首相は7日の記者会見で、トランプ氏が議事堂を襲撃するよう促したとして「断固として非難する」と述べた。(出典:「断固として非難」 ジョンソン英首相がトランプ米大統領を批判,産経新聞電子版,2021.1.8.,

https://www.sankei.com/world/news/210108/wor2101080007-n1.html)

 これで7千万票獲得したトランプさんのイメージは地に落ちたと言っていいです。ただでさえ大統領退任後、波乱の可能性があるにもかかわらず、このような事件が起こってしまっては共和党としても距離を置かざるを得ないでしょう。トランプ嫌いで有名なペロシ下院議長に至っては、任期残りわずかであるにもかかわらず、ペンス副大統領にトランプさん解任を要求し、あまつさえ弾劾訴追手続きをするとまで言い出しております。きっと彼女の心の中は満面の笑みで狂喜狂乱しているでしょうね(そのほか全ての反トランプ団体さんも)。もうトランプさんにできるのは20日まで平穏に暮らして実家に帰るだけです。

 ドナルド・トランプ政治生命はこれで事実上絶たれました。彼の支持者達にも厳しい視線が向けられ、一気に減少していくことになるでしょう。トランプ旋風の反動としてトランプ狩りが始まります。

 

(2021.2.10.デモ隊議事堂突撃事件について追記)