尖閣有事を考える

 皆さんこんにちは、ハトヤブです。毎年8月15日は「敗戦の日」ですね。そして不肖私のブログは一周年を越えました。ブログ開設当初と比べれば皆さん日本国民の尖閣への関心は高くなっているのを細やかながら実感しております。

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 8月に入って産経新聞に中国が尖閣周辺に多数の漁船を送り込むと日本政府に予告したという記事が出ました。

中国政府当局は「日本の海上保安庁は(尖閣周辺で)1隻の日本漁船すら航行するのを止められなかった」と批判。「数百隻もの中国漁船の(尖閣周辺での)航行を制止するよう(日本が)要求する資格はない」と述べた。(出典:中国、漁船群の尖閣領海侵入を予告 「日本に止める資格ない」,産経ニュース,2020.8.2https://www.sankei.com/politics/news/200802/plt2008020007-n1.html)

 厳密に中国政府が直接日本に伝えた事実はないそうですが、東シナ海に面した港湾には7756隻もの中国漁船が集結していると言います。

【8月5日 CNS】3か月間の休漁期間を経て、中国・福建省(Fujian)東山県(Dongshan)の漁船387隻が1日に漁を始めた。この日、福建省海域では刺網漁や籠漁など7756隻の漁船が予定通りに出船した。(出典:福建省で漁が解禁 7756隻の行線が出船,CNS/JCM/AFPBB News2020/8/5,

https://www.afpbb.com/articles/-/3297421)

 この休漁期間と言うのは中国が尖閣諸島を含む東シナ海勝手に設定した法律でそれを根拠に日本の漁船を追い回しました。産経の記事はそれを念頭に置いて書かれたものです。つまりは東シナ海尖閣ごと支配する既成事実を積み上げているわけです。

 抑制的な日本の事情

 意識の高い皆さんの中には頭から噴火している方もいらっしゃるでしょう。「中国船を撃破せよ!」と粋がる方もおられると思います。でも、残念。そんな言葉は現実主義の安倍政権どころか、志高い自衛隊にも届きません。穏健保守がその騒ぎに心配なさっているようですが、取り越し苦労です。日本の自衛隊は軍規を正しく守り、海保の隊員も命令をしっかりと護ります。安心なさい。

 と言うのも日本は尖閣周辺を航行する中国漁船を取り締まれないからです。理由は日本側が尖閣周辺の海域をEZ漁業法適用特例対象海域と定め、自国の漁業関連法令を適応しないことになっているからです。

EZ漁業法適用特例対象海域図

(出典:海上保安レポート2011年版「特集 新たな海洋立国に向かって」

https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2011/html/tokushu/p024_02_03.htmlより)

 これは日中漁業協定を念頭に置いて定められたものなので、無理に中国漁船を攻撃しようものなら「日本が国際法を破った」として中国が一気に攻勢をかけてきます。

 6月17日の日本ビジネスプレスの記事に中国の尖閣奪取のシナリオが描かれております。そこには海上保安官の巡視船からの発砲を皮切りに中国軍が自衛を口実として自衛隊を打ち負かし、尖閣を軍事占領する計画があるとされています。

jbpress.ismedia.jp 世界覇権を目指す中国にとって領土拡張は国際社会の支持の下で行うのが理想的です。故に彼らは三戦「世論戦心理戦法律戦」を仕掛けてきます。江沢民時代以降特に第二次世界大戦(日本でいうところの大東亜戦争)での日中戦争(日本でいう支那事変)について盛んに取り上げるのは、国際世論を味方につけるためであり、真面目な日本人の贖罪意識を刺激して抵抗する気を失わせ、国際法を自国の都合のいい方に捻じ曲げていくためです。早い話が中国は日本を悪者と仕立て上げて戦争をしてヒーローを演出しようとしているのです(その振る舞いは新型コロナウイルス武漢熱)で世界が騒いでいる時にも見られました)。功を奏すれば尖閣日米安保の適応対象にすると約束したはずの米軍も、米国民の世論に重きを置く米大統領によって介入を阻止させられるかもしれません。

 あともう一つ、日本側に撃って欲しい理由として中国の不都合すぎる真実があります。尖閣諸島は日本が1885年に調査し、無主の島々であることを確認した後に1985年沖縄県編入閣議決定しました。その後敗戦に伴って一時的に米国に統治されましたが、1972年沖縄返還と共に日本の施政下に収まりました。これに先立って1968年国連機関の調査で尖閣周辺に石油があると発覚した途端、1970年代に突如領有権を主張し始めたのです。

 しかし尖閣諸島が沖縄の管轄内であることはサンフランシスコ講和条約にも定められていることであり、それ以前に1985年の編入時にも中国が異議を出したことはありません。それどころか1953年人民日報では沖縄の反米運動を報じる記事で尖閣諸島を沖縄の一部として説明しているのです。挙句の果ては中国の出版社が1958年に出版した地図には中国名ではなく尖閣諸島と記載され日本の領土である事が示されております。詳しい情報は以下のサイトをご覧ください。

www.cas.go.jp

www.mofa.go.jp

 これは中国にとっては後出しじゃんけん的な状況であり、これを打破するには戦争でもして吹き飛ばすのが一番の方法なのです。ただ自分から仕掛けると自国が悪者になってしまうので日本側から仕掛けるように挑発して「わが固有の領土が侵略されている」と宣伝しつつ軍事占領を実行に移すのです。

 これを日本政府も防衛省海上保安庁熟知しているから、荒っぽいことはできないのです(もちろん憲法9条も背景にあります)。ならこのままでいいのかと言えばそうでもなく、日本が何もしない間に中国は尖閣支配の既成事実を積み上げていきます。そして日本側のレッドライン(漁民に扮した海上民兵による尖閣上陸・立てこもり)を皮切りに戦争勃発となります。

(不肖私が書いた敗北のシナリオ)

hatoyabu01.hatenablog.com

 中国に侵略者のレッテルを貼れ!

 「ならどうするのか?堂々巡りではないか?」と思われるでしょう。関心を強く持って情報を集めている方の中にもそこで止まってしまっている傾向があります。自分から仕掛けられない。結局受け身なのかと嘆いていても仕方ありません。今まで戦争の反省と称して国防から逃げてきた日本国民の責任です。

 じゃあどうするのか?このまま彼らの意のままになってしまうのか?いいえ!私の書いたシミュレーション戦記は一つの事件にのみ終点を当てたものではなく、覇権主義に邁進する中国の栄枯盛衰の物語でもあるのです。

       シミュレーション戦記

 そのシナリオで中国は相手が無抵抗であればあるほど快進撃を遂げ、逆に抵抗が激しければ激しいほど疲弊していきます。国の疲弊は体制維持にも大きな影響を与えます。現在、経済で失速しているとはいえ共産党の権力構造は強固であり、たとえ人民が立ち上がろうとしてもウルムチ香港のようになるのがわかり切っています。しかし中国が自ら引き起こした戦争で疲弊していけば統制にが生じ、不満を持つ人民や弾圧されている異民族が動けるチャンスが巡ってくるのです。

 抵抗はわかるけど具体的に何をすべきなのか?端的に言ってしまえば我が国も中国側に最初の一発を撃たせるために挑発するのです。それも非軍事的方法で。まず尖閣に関しては施政下である事を示すために科学調査を実行します。7月、自民党議連が尖閣海域の調査を政府に促す活動を始めました。

沖縄県尖閣諸島周辺海域の中国公船の活発な活動への対応を検討する自民党議員連盟は29日、国会内で会合を開いた。尖閣周辺の海洋調査を政府に促すなど、日本の実効支配の強化策を盛り込んだ議員立法をまとめると確認した。次期国会への提出を目指す。(出典:政府に尖閣海域調査促す 自民議連、法案提出方針,日経電子版,2020/7/29,https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62047850Z20C20A7PP8000/

 これに合わせて巡視船の庇護の下、日本の漁師にをしていただくのも効果的です。中国海警が妨害してくるでしょうが、彼らに日本の漁業を止める資格はありません。海上保安官勇気が試されます。

 挑発合戦は尖閣ばかりに囚われません。6月30日、中国が香港を完全な統制下に置くために国家安全法を制定し即日施行させたことに国際的な批判にさらされております。それに合わせて日本の与党においても「香港をめぐる非難決議」がまとめられました。そこには習近平国家主席国賓招聘の中止を要請する文言が記されており、中国側にとってはメンツを潰される事態です(“せざるを得ない”という言葉を問題視する方もいらっしゃいますが“中止”という言葉が消されなかったのは画期的です)。

 まだまだあります。7月30日、台湾の李登輝元総統がお亡くなりになりました(この場を借りて謹んでご冥福をお祈り申し上げます)。その弔問に森元首相を筆頭とした日本超党派議員たちが赴きました。そしてこれまた自民党の有志議員が李元総統に「台湾民主化の功労者」として最高位の勲章を授与する計画が持ち上がっております。

(東京中央社李登輝元総統の死去を受け、自民党の保守派有志議員による「日本の尊厳と国益を護る会」は7月31日、日台関係の発展や日本文化に大きく寄与した李氏に対して最高位の勲章授与を検討するよう政府に求める提言を発表した。(出典:自民有志「護る会」、李登輝元総統への「最高位の勲章授与」を提言/台湾,フォーカス台湾,2020/08/03

http://japan.cna.com.tw/news/apol/202008030003.aspx

 日本のこうした行動は中国にとっては刺激的挑発と映ります。「日中平和こそ大事」と考えている方からも「少しは配慮するべきでは?」と言う声が出てくると思います。しかし、最初に挑発を仕掛けてきたのは中国ですよ?かの国は我が国の事情に配慮せず、むしろ利用して自らの権益を広げようとしているのです。ならばこちらもそれまでの配慮を捨てて民主国家」として当然の行動と主権の行使を実行するべきでしょう。

 そうして腹に据えかねた中国が戦略もかなぐり捨てて人民解放軍尖閣に送り込んでくればしめたものです。「中国による不当な侵略行為」と世界へ積極的に発信し自衛隊返り討ちにしましょう。その状況下ではたとえリベラル米大統領であっても日米安保の適応として米軍の介入を認めざるを得ないでしょう。自衛隊米軍友情訓練の成果が試されます。

 戦争の反省は侵略に抗する事なり

 尖閣護るために中国と戦争する……。ほとんどの日本国民は実感がなく、大きな不安に駆られるかもしれません。「戦争反対!戦争の反省を忘れるな!」と壊れた蓄音機のように繰り返す左翼は論外として、「中国けしからん!」とツイッターなどで粋がっておられる方もいざとなれば「やっぱり止めよう?」と弱気になるかもしれません。

 しかし、考えてみてください。そもそも戦争の反省とは何なのでしょうか?反省とは自分のしてきたことを顧みて、その可否を考えて次につなげることです。例えば仕事勉強失敗した時も反省して、次は失敗しないようにします。それと同じように戦争の反省も国防を考えないことではなく、同じ失敗をしないようにはどうするのかを考える必要があるのです。それが当然「戦争を回避する」意味もある一方「有利な状態で戦争に挑む」ことも意味します。

 今、中国は覇権主義に基づいて世界秩序の改変に乗り出しています。これは私が勝手に言っていることではなく、当の中国共産党の最高権力者習近平国家主席が「中華民族の偉大なる復興」を謳って進められていることなのです。それに抵抗せず恭順するのも一つの道ですが、その場合他の地域の人々が中国の侵略に晒されます。我々の島国はモンスターを閉じ込める檻の働きをしているのです。

 

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(海洋進出を進める赤い帝国とそれを止める島国の壁 出典:GoogleEarthより)

 第二次世界大戦で日本がしてきたことに対して様々な意見があると思います。しかしどのような事情があったとはいえ当時の我々が「力を背景とした現状変更を試みた」事実は変わりません。それが「侵略」と評されるなら「我が国は侵略者」と言えるでしょう。ならば今度は21世紀の「新たな侵略者」に立ち向かい世界の安定と平和を護るこそが本当の反省だと思うのですがいかがでしょう?

 

(2020/8/15 一部画像差し替え、2020/9/3 一部表現修正)