中国が覇権主義を突き進む理由(1)

 皆さんこんにちは、ハトヤブです。

 このブログは私の考えた「日本が中国の属国になり、覇権戦争に協力した末に滅亡する」シナリオを皆さんに披露する目的で開設しました。所詮一素人の創作にすぎませんが、これに刺激を受けて皆さんが皆さんなりに日本とアジアの未来を考えるきっかけになれば幸いです。

           シミュレーション戦記

 さて、このシミュレーションでは中国がアジアの覇権を握り、そのまま世界の覇権へ手を伸ばそうとしています。これを聞いて「確かにそうなるかもー」と思う人もいれば「ケッ、中国脅威論かよネトウヨがwww」とおっしゃる人もいるでしょう。というより後者のほうが多いのではないでしょうか?確かに学校では「戦争はもうしない=もう起きない」という価値観で教えていますし、サブカルでは「安倍政権が帝国日本を復活させて戦争するんだぁ」という妄想に明け暮れています。挙句の果ては政治家が「中国に脅威はない」とのたまっています。

 共産党志位和夫委員長は7日のテレビ東京番組で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮南シナ海で軍事的挑発を続ける中国について「北朝鮮、中国にリアルの危険があるのではなく、実際の危険は中東・アフリカにまで自衛隊が出て行き一緒に戦争をやることだ」と述べた。(出典:産経ニュース,共産・志位委員長「中国、北朝鮮にリアルな危険ない」,2015.11.7,https://www.sankei.com/politics/news/151107/plt1511070011-n1.html

  記事は2015年の安保法制論争当時のものですが、この時すでに中国は南シナ海に九段線を引いて支配権を主張し、実効支配している岩礁の一つに軍事目的の人工島を建設しています。また東シナ海にも食指を伸ばし、沖縄県石垣市尖閣諸島に日夜領海・領空侵犯を繰り返していました。その状況下での発言ですから先見の明がないか、安全保障に関心がないかのどちらかでしょう。もちろんつい最近、日本共産党の綱領が改定され「中国覇権主義に対する批判」が盛り込まれたこと公平に申しておきます。しかしそれは中国共産党の人権問題による同党のイメージダウンを避けるのが目的であることも付け加えておきます。

 例に挙げたのは日本共産党ですが、自民党を含めた他の政党も例外ではありません。安全保障に造詣の深い一部の議員を除いた大部分は日本の安全保障に対し他人事です。右翼などと吹聴される安倍政権ですら中国の脅威に直接言及することは稀です。

 なぜでしょうか?私たち国民が関心を示さないからです。20年前ならともかくネットが発達したここ数年なら、日中記者協定に縛られたメディアに翻弄されることなく情報を集められます。ですがネットの特性上検索しなければ出てきません。

 だから私は日本が大戦の過ちを繰り返すというメジャーな触れ込みで中国の覇権主義に追従する日本を描いたのです。「戦争はダメ」という情緒的な考えで中国に白旗を上げることは、巡り巡ってアジアや世界の国々に戦火を広げることだと伝えようとしたのです。それこそナチスと同盟を組んでいた大日本帝国のように……。

 もちろん中国はナチスではありません。そしてネトウヨやネット保守が言う「中国はアジアのが〇」という主張も誤りです。それこそ「戦争はダメ」と同様情緒的な考えであり、中国の未来を予測する根拠に足りないのです。

 ではこれから中国は覇権主義を突き進むことになる理由を客観的に説明していこうと思います。説明するにあたって私はわかりやすいように四つの漢字で表しました。

   

  四つあることからわかる通り中国が覇権主義をひた走る理由は一つでなく、複数の背景が複雑に絡み合っているのです。では右から順に解説していきましょう。

 ~資源を欲す国

  まず最初のは読んで字のごとく欲望という意味です。先ほど冒頭で触れた南シナ海東シナ海の支配権主張ですが、その一つの目的が海洋資源にあります。米エネルギー調査局(EIA)によると未発見の石油埋蔵量が112億バレル、天然ガス埋蔵量が190兆立方フィートと見積もられています。このことに中国の国営会社中国海洋石油集団有限公司も目を付けており、数年の海洋調査をした末に採掘を開始しています。

4月8日、中国最大の国営オフショア石油生産国・中国海洋石油集団有限公司(China National Offshore Oil Corporation、CNOOC)は、公式サイトで、南シナ海東部に位置する中国初の建深海掘削開発井戸の完成を発表した。井戸は、4月1日に完成したという。

(中略)

公式発表によると、北京がハイテク経済の中心地になることを期待して中国南部の広東省・香港・マカオベイエリア液化天然ガスLNG)と原油を供給する。井戸の長さは4660メートル、垂直方向の深さは2529メートル、水深は680メートル。(出典:ニコール・ハオ,佐渡道世,中国、南シナ海で初のエネルギー深海坑井完成 新たな火種か,大紀元時報,2019年04月17日,https://www.epochtimes.jp/p/2019/04/42083.html

 こうした動きは東シナ海にも広がっており、日中中間線付近に16基のガス田採掘施設が建てられ、今後も新設される見通しです。

 中国は近年の急激なエネルギー需要の増加により、国土に油田があるにもかかわらず世界随一の石油輸入国となっています。輸入するということはそれだけ国内の資産を他国へ流出させることになる上、地域紛争等が安定供給に不安をもたらすので中国は海洋資源を国産エネルギーとして扱いたいのです。

 そのせいか周辺国の懸念を顧みるどころか、周辺国の資源開発を妨害するまでに至っています。例えば2017年7月にベトナム南シナ海で石油掘削を開始しましたが、同月中に中国の圧力によって掘削を中止に追い込まれています。

東南アジアの石油産業の情報筋はBBCに対し、ベトナム政府が掘削に関わるスペイン・レプソル社の関係者に現場を離れるよう命令したと話した。(中略)

業界筋によると、ベトナム政府は先週、レプソル幹部に対し、中国が掘削を続けるならベトナム軍が駐留する南沙(スプラトリー)諸島を攻撃すると脅したためだと説明したという。(出典:ベトナム南シナ海での石油掘削を停止 中国から脅しと業界筋,BBC,2017年07月24日,https://www.bbc.com/japanese/40701694

 自国は開発・採掘を推し進め他国のそれは妨害する。まるでドラえもんで登場するガキ大将、ジャイアンの決め台詞「お前のものは俺のもの おれのものも俺のもの」を体現したような行動です。

  因みに以下が中国が主張している南シナ海の支配域「赤い舌」です。まさに舌を伸ばすがごとく南シナ海を覆いつくし、ベトナム沿岸沖とフィリピン諸島の西側沖を総なめしています。

  

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(中国の主張する南シナ海の支配領域 出典:Google Earthより)

  また同海域は交易の航路としても重要で、特に日本はここに大型原油タンカー(VLCC)を通過させて中東の石油を確保しています。しかし中国が第一列島線(南西諸島からフィリピン、ボルネオ島に至るまでのライン)や第二列島線(伊豆諸島から小笠原諸島、グアム・サイパンパプアニューギニアに至るまでのライン)に支配の手を広げ、交易航路の恣意的な監理・規制を行った場合はそれが難しくなります。

 中国が第1列島線の内側を“Area Denial”海域として大型原油タンカーの通航に警告を出した場合、日本へのVLCCは、ロンボク海峡を通ってインドネシア群島水域に入り、マカッサル海峡を抜けてフィリピンの東側を北上して太平洋岸の港に入ることになろう。 

更に事態がエスカレートして、第1列島線と第2列島線の間が“Anti-access”海域となった場合、ロンボク海峡マカッサル海峡のルートも利用できないため、日本へのVLCCは、オーストラリアの南方を通って南太平洋に出て、西太平洋を北上することになろう。(出典:秋元一峰,南シナ海の航行が脅かされる事態における経済的損失,海洋安全保障情報特報,笹川平和財団,2014,https://www.spf.org/oceans/analysis_ja02/b140630.html

  上記事の著者によれば迂回に伴う交易航路の伸長は、往復するVLCCの数を増やす必要に迫られるので経済的負担増加につながるそうです。そしてそれは航路が伸びれば伸びるほど大きくなりますから、ロンボク海峡マカッサル海峡ルートは軽微な負担でも、オーストラリアの南方を回るルートは大きな負担になります。

 もし中国が南シナ海東シナ海を完全掌握したとすれば日本や東南アジア諸国は交易をあきらめるか、中国のご機嫌を取らざるを得なくなります。逆に言えば中国にとっては両海域を手に入れれば石油・ガス資源が自分のものになるだけでなく、航路の監理を通して東アジアと東南アジアの国々を支配することができるのです。まさに一石二鳥です。

 (続きは こちら

  覇権主義を突き進む中国と追従する日本。その未来はこちら

 

(12/9 本文中一部修正、12/12 出典URLを追加)(2020/09/12 画像差し替え)